レクシプローラの英語放浪ブログ

あなたの英語の「わからない」と「なぜ」に答える英語学習ブログです。

【正しく苦手を克服しよう】「長文読解が苦手」という言葉は最悪であるという話。正しい英語長文の勉強法。

 

苦手なのは本当に「長文読解」なのか

数年間塾講師として、中高生に英語を教えてきた中で、よく言われることの一つに「長文読解が苦手で…」というものがあります。個人的に、この悩みを持っている、とくに受験生は、勉強する態度がまるでなっていません。なぜなら、「長文読解」において必要な要素は多種多様であって、一口に長文読解が苦手といっても、その原因は様々だからです。例えば、「この文法のこういう文が出てくると読めなくなる」というような悩みなら、自分の苦手部分を分析しているわけですから、悩みとしてはあって然るべきだと思いますが、「長文読解が苦手」だと、原因の分析から目を背けているにすぎません。苦手なのは「読むこと」ですか?「解くこと」ですか?文法?単語?

 

あなたが苦手なのは本当に「長文」ですか?

 

原因を分析しよう

以下に共通テストで出題された英文の一部を載せます。いったん読んでみてください。そのあとに、一緒に苦手を分析してみましょう。内容は香辛料についてのものです。

共通テスト2024本試 大問6B 第二段落より抜粋

 

原因①:英単語

 長文が読めない大きな原因の1つが、語彙力不足です。Laufer(2010)やSchmitt, Jiang & Grabe(2011)は、「語の意味の推測」に関して、意味を推測するには、文章中の95~98%の単語を知っている必要があるとしています。ここ最近は、語の推測に力を入れるような単語帳(速単など)もありますが、その推測力は、文中の単語のほとんどがわかっている状態で発動されるべきものです。長文を読んでいて、わからない単語に出会うとそれだけで時間を奪われます。単語を覚えていないうちは、長文なんて読まなくていいです。さっさと単語を覚えてください。講師としての経験上、もっている単語帳を完璧にするだけで、長文がうんと読めるようになる生徒は非常に多いのが現実です。

 

例えば、上記の長文の中で、derive, compound, sensation, trigger, receptor, contain, などがわからなかった人は、もう一度単語帳を見直してください。きっと覚えていない単語がたくさんあるはずです。

 

原因②:英文法&英文解釈

「単語はわかるのに、英文が読めない」という状態になったことがある人も多いでしょう。その原因は、英文法が理解できていない、知識が足りていないこと、または英文解釈の能力が低いことでしょう(勘違いする人が多いのであらかじめ断っておきますが、英文解釈というのは英文法の延長です。別の能力とかではなくて、英文法を読解に生かすことが英文解釈なのです)。長文読解において、英文法&英文解釈の力を測る指標は、「根拠をもって英文を訳せるかどうか」です。

 

例えば2行目の文で、文法や解釈の力を試してみましょう。以下の英文を和訳してみてください。

 

The bite we feel from eating chili peppers and wasabi is derived from different types of compounds.

注)bite (名) 噛み応え

 

まずは文の骨組み(SVOC)をメインに探していきます。左から見ていくわけですが、まず、The bite we feelの部分は、The biteという名詞の後ろにwe(S)、feel(V)があること、そしてfeelの目的語(O)が欠けていることから、The biteとweの間には関係代名詞が省略されていると考え、このまま次に本命の動詞(V)が出てくると予測して、そこまでを名詞句のカタマリにするつもりで読み進めます。すると...is derivedという形で動詞(動詞句)が現れたので、これをVとしましょう。あとは、前置詞のカタマリを()でくくって、文構造は以下のように分析できます。

 

 

訳:唐辛子やわさびを食べて感じる噛み応えは、異なる種類の化合物に由来する。

 

上記では軽く説明しましたが、本来はもっと様々な文法知識が問われます。

この文を正しく読み取るのに必要な文法的な知識は以下です。

 

・関係代名詞の省略(The bite we feel~)

・~ingの処理(from eating chili peppers and wasabi

⇒ingには、動名詞、分詞、分詞構文の3つの可能性がある。

▶今回は、前置詞の後ろにing形が来たので、動名詞(前置詞の後ろは名詞)。

・前置詞句の扱い

⇒前置詞句は文中で形容詞か副詞の働きをする。

・等位接続詞(chili peppers and wasabi

⇒andは同じもの動詞をつなぐ(節と節、句と句、名詞と名詞などのように)。

 

これらを「言われれば言語化できるレベルで」理解していますか?根拠をもって訳するとはこういうことです。これができずに、長文読解などできるはずがありません。

 

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原因④:国語力

実は今回この記事を書いた最たる目的は、国語力の重要性を伝えるためです。最近の風潮で、「英語を日本語を介さずに読む」ことを理想とする空気感がありますが、まあ確かに理想ではあるんですけど、たかが受験生風情にそんなことはできません。諦めてください。日本語を使ってください。結局ね、英単語帳も左ページに英語が、右ページには日本語があって、文法書も、参考書も、ぜーんぶ日本語で英語を説明しているんです。それを使う我々が、なぜ長文読解の時だけ日本語を一切排除することができるのでしょうか。いやできません。できるわけありません。そんなことを目指している暇があったら、上手に日本語を使えるようになりなさい。

 

数年間の講師としての経験の中で、国語(特に現代文)が苦手な子は、ある程度のところで英語力が頭打ちになるという現象になんども出会いました。結局、いくら英語とは言え、多くの場合は英文を日本語によって理解することになるので、現代文とくのとたいして変わらないんですよ。「単語も文法もちゃんとやってるのに、話が入ってこない。何を言っているのかいまいちわからない」という人、いったん英語を離れて、現代文の勉強に力を入れてみてください。

 

「長文読解が苦手」という言葉に逃げない

改めて、「長文読解が苦手」という言葉は、原因分析をよくしていない人間が発するものです。英単語が覚えられていない、英文解釈能力がないなど、一口に長文読解といっても、そこで求められている要素は、総合的なものなのです。

 

「長文読解が苦手」という言葉に逃げず、具体的に何が苦手なのかを常に考えながら、勉強を進めていってください。なにも英語に限ったことではありません。数学でも、社会でも理科でも、この姿勢はすべてに通ずるものですよ。