そもそも関係代名詞ってなに?
まずは、関係代名詞がどのような時に使われるのかを見てみましょう。
➀の文では、名詞friendのうしろに、そのfriendがどんな人なのかを説明するカタマリ〈who plays soccer well〉が来ています。➁の文も同じで、名詞bookのうしろに、そのbookがどのような本なのかを説明するカタマリ〈which my father gave me〉が来ています。➀、➁において、〈who plays soccer well〉や〈which my father gave me〉は、名詞を詳しくしているので、役割としては形容詞のカタマリだとわかりますね。
このように、名詞のうしろにおいて、その名詞を長々と詳しくするときに、関係代名詞を使います。中学生の段階で習うのは、which, who, thatくらいなので、とりあえずこのどれかを名詞の後において、後ろにその説明を加えられるんだと思っておいてください。
関係代名詞を使ってみよう
上で説明しただけではさすがに足りないので、実際に関係代名詞を使うにはどうしたらいいのかを、ここでは理解していきましょう。
まず、関係代名詞というのは、2つの文をくっつけたもの(合成したもの)と理解してください。この意味では接続詞と非常に似た性質を持っているので、接続詞の一種と捉えても構いません。例えば、以下のような2つの文があったとします。
これら2つの文ですが、2つの文に分けて言うとちょっとしつこい感じがします。というのも、別に「私には上手にサッカーをする友達がいる」とひとことで言ってくれればいいのに、いちいち分けて言われたら、なんかむずむずしてしまいます。よって、これら2つをくっつけて1つの文にして、ひとことで言いきってみましょう。その際、以下に示すSTEPの通りにやるとスムーズにいきます。
STEP1 2つの文で詳しくしたい名詞(かぶっている名詞)を探す
2 文で二度も友達(friend)を話題に出していますから、ここで詳しくしたい名詞は friendだと決めます。
STEP2 詳しくしたい名詞の隣に関係代名詞(who, which, that)を入れて、文をつなげる
ここで入れる関係代名詞は、詳しくしたい名詞に合わせて、人なら who、モノなどならwhich を用います。なお、thatは人でもモノでも使えます。今回はa friendを詳しくしたかったので、whoを使いました。もちろんthatでも大丈夫です。また、関係代名詞を使うときに、詳しくしたい名詞のことを先行詞と言います。覚えなくてもいいですが、そういう言葉があることくらいは知っておいてください。
STEP3 同じ名詞があったら、2つめを消す
英語はとにかく同じ言葉を何度もいうことを嫌う言語です。前にすでに出ている言葉は、例えばitやthey、he、sheなどの代名詞で置き換えるし、言う必要がないときには書くことすらしません。そのため、関係代名詞を使う時には、1つの文の中で同じ名詞は繰り返しません。すでに言っていることをいちいち何度も言いたくないからです。よって、friendは最初に一度出ているので、2 個目は消してしまいます。これで、「1.関係代名詞とはなにか」の➀の例文で出した、「I have a friend who plays soccer well.」の完成です。
せっかくなので、1.で出した例文の2つ目、「I have a book which my father gave me.」の成り立ちについても考えてみましょう。もとは「I have a book.」と「My father gave me it.」という2つの文です。さっきと同じやり方で、これらの文をくっつけてみましょう。
STEP1 2つの文で詳しくしたい名詞(かぶっている名詞)を探す
➁のitとはbookのことなので、詳しくしたい名詞はitでいいですね。
STEP2 詳しくしたい名詞の隣に関係代名詞(who, which, that)を入れて、文をつなげる
今回は先行詞(詳しくしたい名詞)がa bookという「モノ」なのでwhichを使いました。もちろんthatでも大丈夫です。
STEP3 同じ名詞があったら、2つめを消す
今回の文では、前半に出てきたbookが、文の最後でもう一度出てきてしまったので、これを消す必要があるわけです。
以上のやり方で、1.でやった➁の英文「I have a book which my father gave me.」の完成です。なお、一つ注意事項ですが、関係代名詞のうしろに主語と動詞が来たときは、関係代名詞を省略して良いというルールがあります。例えば、今回の「I have a book which my father gave me.」という文ですが、関係代名詞のwhichの後に、my father(父親)という主語と、gave という動詞がありますから、whichを省略して、「I have a book my father gave me.」と書いてもいいわけです。
以上のように、関係代名詞を使って文を作る場合は、
これら3つのステップで攻略しましょう!
関係代名詞を読み取ろう
それでは、これまでの知識を生かしながら、実際に関係代名詞を使った文を読み取ってみましょう。以下は、平成27年度北海道公立高校入試第4問からの抜粋です。自分なりに和訳してみてください。
先に答えを言うと、以下のような訳になっています。
少し直訳気味に訳しましたが、概ねこのような感じです。さて、一文ずつよく見てみましょう。2文目の方が関係代名詞を理解しやすいので、先に説明します。
分かりやすいように、2つのパーツに分けてみます。
「1.関係代名詞とはなにか」「2.関係代名詞を使ってみる」をよく読んだ皆さんの中には、すでにifからのカタマリの中にあるthatが関係代名詞っぽいなと思ってくれている人がいるかもしれませんね。正解です。ではなぜこれが関係代名詞なのかを考えてみましょう。 まず、主語と動詞があったらそれを文と呼ぶのですが、英語では文をつなぐには、接続詞や関係代名詞が必要です。ifからのカタマリをもう一度見ると、主語と動詞のカタマリが2つあるのがわかりますか?
produce は注釈にあった通り「生産する、つくる」という動詞で、その手前にあるweが主語です。そのまま後ろの方まで読み進めると、thatの後にpeopleとwantが出てきます。want は「ほしい」という動詞ですから、その前にあるpeopleは主語です。よって、このifからのカタマリの中に、主語と動詞つまり文が2つあるとわかります。すると、この2つの文をつないでくれるはしごが必要なわけですから、それを探すと、どうやらthat が文をつないでくれているとわかります。以下のような感じで文が切れて、that がもう 1 つ文をつないだのです。
関係代名詞は、ただ文をつなぐのではなくて、手前の名詞に対して説明を加える役目を持っていますから、今回の文は、that people want が、手前にあるdelicious productsを詳しくしたのだと理解します。よって、ただのdelicious productsでなくて、people want「人々がほしい」delicious products だったということですね。以上の理由から、訳ができるわけです。
それでは、まだ1つ目のIn the future~の文の解説をしていないので、以下で説明していきます。
分かり易いように、以下のように分けてみます
さて、in the future は「将来~」という意味で、ただ文を詳しくするだけなので無視して、I’ll~の文を見ていきましょう。I’ll~produce までピリオドは1つだけなので、当然1つの文としてみなされます。ところが、どうやら主語と動詞が 2 つあるのです。気づきましたか?
このように主語と動詞のセット、つまり文が2つありますから、文法上は接続詞や関係代名詞が必要なのに、それが見当たりません。そのため、「省略されている」と推理して、勝手に追加してしまいましょう。今回は名詞であるmilkのうしろに主語と動詞が来たので、関係代名詞としてthatを足してあげます。
これならすっきり理解できますね。my family producesが関係代名詞thatによってI’ll make~from milk までの文とつながって、手前の名詞milkを詳しくしたと考えられます。ただのmilk ではなくて、my family produces「私の家族が作る」milkだったということです。以上のことから、以下のような訳に行きつくのです。
関係代名詞を見抜く!
ところで、気づいた人もいるかもしれませんが、関係代名詞ではないthatも英語には存在しています。いくつか例を出します。
全部thatを使っていて、さらにthatのうしろに主語と動詞があるので、接続詞か関係代名詞のどれかだというところまではわかるでしょうか。では、どれが関係代名詞かわかりますか?ここまでテキストを読み進めたなら、何となく➂のthatが関係代名詞っぽいなと思えるかもしれませんね。確かに正解は③ですが、なぜ➂のthatは関係代名詞と言えるのでしょうか。
さて、関係代名詞とは、「名詞を詳しくするカタマリ」を作るもののことでした。よって、that の役割から考えるなら、「手前に名詞があれば関係代名詞の that だ」と捉えて判断するのも悪くないでしょう。確かに➂は、thatの手前にhouse(家)という名詞がありますから、その判断基準でも大丈夫そうです。ただここで問題となるのは、thatが省略される場合があることです。例えば上記の➀・➁の文はthatを省略して以下のようにも表せます。
こうした文の読み取り方も言語化しておきましょう。まず、接続詞や関係代名詞が無いのに、主語と動詞のカタマリ(=文)が2つ以上並んでいたら、自分で接続詞や関係代名詞を補うようにしてください。つまり、➀や➁のような文を見たら、自分でthat を追加するということです。
この後の判断は、もうthat があるときと一緒で、手前に名詞があったら関係代名詞です。もう少しこの判断方法を簡単にすると、名詞の後に主語と動詞があるなら、関係代名詞を追加してみるといいでしょう。
おわりに
ここまでお疲れさまでした。「関係代名詞の役割は何か」「関係代名詞をどのように使うのか」「関係代名詞がある文をどのように読むのか」「関係代名詞をどのように見抜くのか」、これらを今理解できていますか?もし怪しい箇所があれば、前に戻って読み直し、持っているテキストで問題を解くなどしてみてください。