5文型は何に役立つのか
英文法導入講座①では、文の骨組みについて学びました。ポイントを再掲しておきますね。
Point2
文の骨組み=主語S、動詞V、目的語O、補語C
英語の文はこれら 4 つの要素によって、5 種類の型を取っています。それを文型といいます。文型を理解する目的は、➀文の構造を理解し、訳すため ②動詞の意味を決めるための 2 つです。➀はなんとなくわかると思いますが、②動詞の意味を決めるとはどういうことでしょうか。以下に5つの例文を載せるので、それぞれ見てみましょう。
※『ジーニアス英和辞典 第5版』より引用
普通、getの意味を聞かれれば、大抵の人は「手に入れる、入手する」と答えるかと思いますが、これらの例文で用いられた「get」はそれぞれ➀移動する、②~になる、③得る、④とってきて与える、⑤させるの意味で用いられています。つまり、一概にその動詞を見たからといって、文型の判断を抜きにして意味を決定することは不可能なのです。試しに「get」 を辞書で引いてみてください。きっとたくさんの意味が出てくることでしょう。そしてこの動詞(ここでは「get」)の意味を決めることこそ、文型を理解する目的なのです。
文型について見ていく前に、文を読み解くうえで助けになる、前置詞の扱い方について記載します。英文法導入講座①で説明しましたが、前置詞は副詞や形容詞のような働きをするため、なにかしらの語句に対して情報を付け足すための語となります。あくまで飾りつけのための語句として前置詞は働くので、文の骨組みを見極める際には()で隠してしまいましょう。次から文型とそれにあわせて例文の説明をしますが、もし()でくくられているところがあれば、それは文の骨組みではなくかざりつけのための要素だと思ってください。また、()でくくられてもいない、そして骨組みにもなっていない語というものが出てきます。それも英文法導入講座①でやった修飾語句の一種です。下記の文型について例文を見る際には、便宜的にMとはせず、下線部の下に「副詞」と書いておくことにします。副詞は英文法導入講座①でやった通り、「名詞以外を詳しくし、文の骨組みにはならない」語のことですね。
ルール
・前置詞のカタマリには()をする
・それ以外で浮いてしまった単語は、副詞だと判断する。
それでは、第1文型から見ていきましょう!
第1文型 S+V
主語(S)と動詞(V)によってつくられる非常にシンプルで簡単な英文です。目的語(O)も補語(C)もいりません。「~が…する」とそれだけの文です。
第2文型 S+V+C
上でやった第1文型に補語(C)が付いたものです。ここでは2つのポイントを押さえま
しょう。
Point10
補語(C)は、主語(S)か目的語(O)を詳しくする。
第2文型SVCでは、S=Cの関係が成り立つ
次の例文をみて、どのような語が補語(C)となるのかを確認してください。
見てわかる通り、主語Sと補語Cが「イコール」の関係になっていますね。これは、捉
え方を変えれば、動詞の意味を知らなくても、SVC という文型を取った時点で「S=C」つまり「SはCである」という訳に行きつくことができる、ということです。例えば4つ目の英文で、smellの意味が分からなくても、とりあえずは、「このスープはおいしい」と理解しておけば良いということです。
また、補語Cになれる言葉は名詞と形容詞だけです。上の英文で言えば、a doctorは名詞、beautifulは形容詞、surprisedは形容詞(過去分詞)、deliciousは形容詞です。形容詞や名詞がわからないな、あやしいなという人は、英文法導入講座②-1を見てください!
第3文型 S+V+O
第3文型では動詞の後ろに目的語(O)が来ます。英文法導入講座①の動詞のところでお話ししましたが、「誰に?」「何を?」と聞けてしまう動詞を他動詞と呼んでいましたね。第3文型は、「何を?」に注目する文型です。なお、目的語(O)には名詞しかきません。「何を?」に対して、「ペン」と名詞で答えることはあっても、「むずかしい」と形容詞で答えることはないからです。
さて、ここまで第3文型まで学んだので、ちょっとだけ復習しましょう。以下の問題を考えてみてください。
問題:以下の英文を日本語に訳しなさい。
His story proved true.
prove という動詞があります。辞書などで調べると、おそらく「証明する」という意味で出るでしょう。では、この英文は、「彼の話は本当だと証明した」ですか?ちょっと日本語として変な感じがしますね。それでは、文型を判断して、英文を分析してみましょう。 まずは動詞Vをチェックしましょう。当然provedですね。動詞を見つけたら、その前にある名詞(名詞句)が主語となりますから、His story が主語Sです。ここまでは大丈夫でしょう。それではtrueについて考えましょう。trueは形容詞で「真実の」などの意味を表します。形容詞ということは、少なくとも目的語にはなれませんね。目的語になれるのは名詞だけだからです。ということは、trueは補語Cですね。よって以下のように文型を判断します。
His story proved true.
S V C
ここまで来たら、第2文型SVCとわかるので、「S=C」という性質を思い出しましょう。
「彼の話=真実」ですね。よって訳は、「彼の話は真実だった」などが良いでしょう。proveを調べたら「証明する」と出てきたから、そう訳せば良いというわけではないのです。文型とは、「動詞の意味を決定するため」にあることを忘れないでください。
第4文型 S+V+O+O
第4文型では目的語が2つも出てきます。後ろに目的語が来る動詞は他動詞ですね。他
動詞とは「誰に?」「何を?」を聞けてしまう語でした。第3文型では「何を?」だけでしたが、第4文型では「誰に?」も聞きます。そのため2つ目的語が登場するのです。この文型をとる動詞の多くは、人と物の両方を同時に目的語とする種類の他動詞で、「だれかになにかをあたえる」系の意味が多いので、授与動詞なんて呼ばれていたりします。特にむずかしいことはありません。動詞の後は「誰に?」「何を?」の順に書かれていれば、それが第4 文型なのです。例文で確認しましょう。
第5文型 S+V+O+C
第5文型で覚えることは1つです。
Point11
第5文型SVOCでは、O=Cの関係が成り立つ。
第2文型では、「補語(C)は主語(S)か目的語(O)を詳しくする」ことを学習しました。第2文型では「S=C」の関係が成り立つので、補語(C)は主語(S)を詳しくしていました。今回は残っている(O)を詳しくするパターンです。
またこの文型は目的語をとっていますね。「誰を?」と解釈しながら読むと理解しやすいかもしれません。例えば次の例文の1個目は、「私を」幸せにしています。だから「me」が目的語(O)になっているのです。
★make O C で「OをCにする」は超頻出です!覚えてください!また、「使役」という文法を勉強するとわかりますが、make O Cは「OにCさせる」という意味にもなります。この2つを押さえておくといいでしょう。
ちなみに、第五文型はどのような動詞をとったとしても、基本的にmake O Cの意味に帰着します。英文を読み解く際、「SVOCという第五文型の形をとっている文なのは分かったけど、動詞の意味が分からない」となったら、とりあえずは動詞をmakeに置き換えて、make O Cで考えてみましょう。例えば、以下の問題について考えてみましょう。
問題:以下の英文を日本語に訳しなさい。
New technology rendered my old computer obsolete.
※obsolete:形容詞「時代遅れの」
とりあえず文型を判断するところから始めましょう。renderedというふうに、edがつい
ているので、全くしらないとしてもrenderという動詞があるのかもという予測はつくでしょう。その前にある名詞(名詞句)が主語Sなので、New technologyが主語Sでしょう。
次に、renderedのうしろにmy old computerという名詞があります。名詞なので、OかC
のどちらかでしょうね。ただ、C だとしたら、S=C となって、「New technology=my old computer」となりますが、さすがに「新しい技術」と「私の古いコンピュータ」は同じものではないでしょうから、補語にする解釈には無理がありそうです。そのためOとしておきましょう。最後にobsolete「時代遅れの」という形容詞がありますね。形容詞はOにはできないので、これはCとしておきましょう。よって文型は以下のように分析されます。
render という動詞は英検準一級相当の難単語です。ただ、文型を分析できれば、なにも怖くありません。SVOCという文型になった以上、renderをmakeに置き換えればいいのです。訳し方は「OをCにする」でしたね。よってこの文の訳は、「新たな技術が、私の古いコンピュータを時代遅れにした」となります。これで全く問題ありません。
おわりに
さて、ここまでで5文型をすべて学び終わりました。文型を理解することのメリットを少し整理しておきましょう。
少し振り返ってみると、SVCならS=C(SはCだ)、SVOOなら与える系の意味、SVOCならO=C(OをCにする)、のようにある程度意味が決まっていたわけです。つまり、英文を読んでいて、動詞っぽいものがあって、でもその訳がわからないというときに、文型がわかればその意味が推測できるということです。暗記がいらないと言うつもりはありませんが、それでも知らない単語を「暗記」以外のアプローチで理解する方法があることを知っておくだけで、相当に便利なものだとわかるはずです。
英文の読解は品詞と文型から始まります。英文法導入講座の内容を、しっかりと理解しましょう。