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【共通テストで英文解釈➃】長文でよく出る表現や構文を覚えておこう!

 

はじめに

【共通テストで英文解釈】第4弾!今回は2022年度共通テスト第6問Bからの出題です。

これまでの記事は以下からどうぞ!

※当シリーズにおける学習の進め方は、第1弾(以下のリンク)に示してあるので、ぜひご参照ください。

 

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問題編:【共通テストで英文解釈➃】問題編.pdf - Google ドライブ

解説編:【共通テストで英文解釈➃】解説編.pdf - Google ドライブ

 

問題➀

 

【解説】

文頭にingがありますね。これだけだと、動名詞」「現在分詞」「分詞構文」の3つの可能性があります。この後を読んでから、どれなのかを決めましょう。すると、隣に動詞helpsがありますから、これをVとして、その前にあるMeasuringを主語とします。helpsと三人称単数現在を示すsがついているので、Measuringを動名詞として主語とみなす根拠は十分です。

※「分詞構文」などについては、以下の記事をご参照ください。

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helpだけだと「何を?」と聞けるので、この後にきたhumansをOとします。するとその隣にsayという動詞が見えます。接続詞がここまで一つも出ていないし、省略できるような場所もないので、sayをVとする以外の処理を考えましょう。こんな感じで、英文を読んでいて処理に困った動詞の原形は、ほとんどの確率で原型不定詞として補語Cにできます。実際、help OCで「OがCするのを手伝う(助ける)」という表現がありますから、これでいきましょう。

※原型不定詞については以下の記事をご参照ください。。

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ここまでで、文構造は以下のように分析できます。

 

それでは、how long, far, big, or heavy something is with some kind of accuracyの部分に行きます。

 

まず原型不定詞sayだけだと「何を?」言うのかがわかりませんから、howから後ろがsayの目的語になっていると予測しましょう。howのうしろにlongとあるので、「~はどれくらいながいのか」という意味になっていると思ってもう少し見ると、far, big, or heavyと続いていきます。orは「同じものをつなぐ」等位接続詞ですから、後ろにheavyがあること、コンマが続いたことを根拠に、long, far, big, heavyがorによってつながっていると見ます。とすると、ここまでで「どれくらい長く、遠く、大きく、重いのか」と、大まかな訳の方針が決まります。

 

この後を見るとsomething is とあるのでこれをそれぞれS・Vと置きます。with some kind of accuracyは「ある程度の正確性をもって」とでも訳すといいでしょう。ここまでで、解説と訳は以下のようになります。

 

 

問題➁

 

【解説】

文頭に来るand, or, butなどは、等位接続詞ではなく接続副詞として扱われます。howeverとかと同じ役割です。こいつらに文をつなぐ機能はないので、「しかし」と訳して一旦無視します。

 

★it was not until構文について

But以降はit was not until構文が見えます。これについて、少し解説しておきます。

一般的には、it was not until~that…という形で用い、意味は「~して初めて…した」となります。訳だけ覚えるのはもったいないので、どのようにこの構文が生まれたのかを考えていきましょう。

 

結論から言えば、この構文は「強調構文」の一種です。そのため、まずは簡単に強調構文について説明します。「そんなの知ってるよ!」という人は全然読み飛ばしてOKです。

 

▶強調構文

強調構文とは、通常の文から強調したい語句をそのまま抜き取って、it is ~ that…の「~」の部分に入れる構文です。訳は「…なのは~だ」となります。例えば…

 

Mike saw Tom at the library on February 2.  マイクは2月2日に図書館でトムに会った。

 

という文で

 

・Tomを強調したいなら…

It was Tom that Mike saw at the library on February 2.

マイクが2月2日に会ったのはトムだ。

 

・at the libraryを強調したいなら…

It was at the library that Mike saw Tom on February 2.

マイクが2月2日に会ったのは図書館だった。

 

・on Februray 2を強調したいなら…

It was on February 2 that Mike saw Tom at the library,

マイクが図書館でトムに会ったのは2月2日だった。

 

※時制は、元の文が現在形だったならisに、過去形だったならwasにするのが基本です。

 

さて、ここまで見ると、なんとなくit was not until thatという形が強調構文に似ているのはわかりますね。というわけで、元の文からit was not until thatの形になる過程を見てみましょう。

 

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実はこの記事で、not untilを使った文が出ていました。以下に再掲します。

【共通テストで英文解釈➁】問題➀

問題となるのは前半の節 His family did not have electricity until he was 12 years old.です。これを強調構文にしていきましょう。今回はuntil he was 12 years oldの部分を強調してみます。強調構文とは、通常の文から強調したい語句をそのまま抜き取って、it is ~ that…の「~」の部分に入れる構文ですから、それにしたがって…

 

It was until the was 12 years old that his family did not have electricity.

彼の家族が電気を持っていなかったのは、彼が12歳になるまでずっとだった。

➡彼が12歳になって初めて、彼の家族は電気を持った。

 

となります。本当はこれでもいいのですが、英語はnotを先に言いたがるので、以下のような言い方のように、notの位置が変更されます。

 

 

これでit was not until構文の完成です!このように、it was not untilというのはあくまでも強調構文の一種ですから、別物として理解するのではなく、強調構文というグループの中にいるものとして押さえておくといいでしょう。

 

本文の解説へ

さて、強調構文やit was not until構文を理解したところで、本文に戻りましょう。もう一度問題文を以下に掲載します。

 

 

thatの以下の訳を先に考えて、「~なのは14世紀までずっとだった➡14世紀になって初めて~だった」という訳につなげていきましょう。

まずoffiicial documents「公式の文書」という名詞があるのでこれをS、describedをVとします。describeは「述べる」という意味なので、これだけだと「何を?」と聞かれてしまいますから、その後ろにある名詞the yardをOとします。さて、後ろにはasがありますが、ここで、「V A as B」の形だ!となった人は上出来です。

語法として、「V A as B」の形になると、「AをBとみなす/思う/いう」などの意味を取ります。動詞がなんであれ、この形をとった時点で訳がある程度確定するわけです。Aは当然the yard、Bはbeing devided into three equal parts~です。

 

以上の内容から、解説と訳は以下のようになります。

 

 

問題➂



【解説】

however「しかし」とありますから、この後に節を期待しましょう。するとnow thatとありますね。これは「今や~なのだから」という意味の構文です。that以降は、international online shopping がS、has spreadがVです。ここまでで「しかし、今や国際的なオンラインショッピングは世界中に普及したのだから」と訳せます。

 

まだ主節(接続詞などに巻き込まれていない、その文のメインの節)が来ていないので、we 以降がそれでしょう。

 

we all「私たち全員」がS、そのあとのneed to knowをVとします。もちろんneedだけをVとしても良いですが、need to knowごとVとするほうが、この後のknowの目的語の処理が楽です。

 

さていつものようにknowに「何を?」しっているのか聞いて、その後ろにある名詞句a little about other countries’ measuring systems「他国の計測方法についてのすこしのこと」を目的語Oとします。littleは冠詞aがついているところから、名詞扱いしても差し支えありません。

 

そのあとにso that~「~するために」があります。これもthatが後ろに節をつくるので、いつものように解釈しましょう。we knowとあるので、これをS・Vとするのはいいとして、knowに「何を?」と聞いて、うしろのhow節「どのように~か」を目的語Oとします。orを挟んでhow節が2個並んだので、knowの目的語はこれら2つのhow節になります。

 

最後のof something we are buyingについては、buy「買う」の目的語が無いことから、we are buyingは不完全文であり、手前の名詞somethingに対して修飾する関係代名詞節だとわかります。

 

以上のことから、文構造と訳は以下のように分析できます。

 

 

おわりに

今回出てきたit was not untill, now that, so thatは長文で頻出の表現です!なんなら私立の文法問題などでもよく見るので、覚えていなかった人はこの機会に絶対に覚えましょう。

【英会話】無料で英会話ができる最強のウェブサイトを見つけてしまった【Free4Talk】

英会話にお金をかけたくない

私は以前オンライン英会話を試したときがあるのですが、あれちょっと高くないですか?英語を話す外国人と話すという行為に、毎月数千円払うのが、どうも対価として見合っていないように感じたのです。

というわけで、同じような思いをしたことのある方に向けて、今回はとあるウェブサイトを紹介しようと思います。

 

Free4Talkが最強!

ずばり、私のおすすめのサイトとは「Free4Talk」です。Free4Talkとは、様々な言語を学習する人々が交流するプラットフォームです。英語に限らず、どんな言語でも学ぶことができます。

 

Free4Talkのリンク:https://www.free4talk.com/

 

 

使い方

➀アカウントを作成

上記のURLを開くと、以下のような画面に飛びます。右上のSign inを押して、アカウントを作成します。



 

既存のGoogleアカウントがある人は、それでログインができるので使うといいでしょう。持っていない方も、指示に従って新規で作成できます。

 

アカウント作成(またはログイン)が完了すると、以下のように右上に自分のアカウントのアイコンが出ます。

 

➁部屋に入る

ログインが完了すると、実際に部屋に入って、外国の方々と会話することができます。学びたい言語の部屋を見つけて、人がいるところに入るといいでしょう。なんらかのアイコンが表示されている場合は、その部屋に誰かがいるということです。当然、英語を学ぼうとする人は英語の部屋に入りたいでしょうから、左上にEnglishと書いてある部屋に行くといいでしょう。

 

 

部屋に入った後はもうしゃべるだけです!結構簡単ですね。なんどでも言いますがこれは完全無料のサイトです。どれだけ誰としゃべろうが、追加料金はかかりません。

 

なぜこんなにもおすすめするのか

なんといっても無料

まずは無料であることが最大にして最強のメリットです。無料でまともに英会話をするコンテンツはまずありません。無料のなにが良いかと言えば、コストが無いことによるハードルの低さです。例えばオンライン英会話を1カ月つづけるだけでも数千円かかりますが、お金を払っているときって、成果が出ないとかなりストレスたまりますよね。お金をかけているのに・・・となってしまいがちなんです。そのストレスは、無料であるという点で解決されます。

 

レベル分けがある

Free4Talkは無料の割に、結構学習者への気遣いが見られます。レベル分けはその1つです。このプラットフォームでは、ホストが部屋を作る際に、その部屋の言語レベルを設定できます。

 

※部屋の作成には、アカウント作成から一定の期間を要するため、使い方の項目には記載しませんでした。最初のうちは、どこかの部屋に入るので十分ですよ。

 

自信がない人はBignnerの部屋に、ちょっとくらいなら話せるなという人はIntermidiate以上の部屋に、もっとできそうな人はAdvanced以上の部屋に入ってみるといいでしょう。自分のレベルに合わせて、入る部屋を決めてください。

 

出会い目的などが全くない

無料で英会話をしようと思って探すと良く出てくるのが、「HelloTalk」や「Tandem」というアプリです。私も以前やっていたことがあるのですが、これレビューみたらわかるんですけど、「出会い系サイトだと思っているバカ」が死ぬほどいるんですよ。特に女性の方が利用しようとすると、満足いくレベルで学べるとは到底思いません。

 

ところがFree4Talkは、そういった目的で利用する人がほぼ0に近いんです。いてもそのアカウントを報告すれば一発でバンされます。他の無料コンテンツに比べて、圧倒的に安全性が高いです。

 

日本語学習者がいる

数が多いわけではないのですが、一定数日本語を学習している人がいます。なので、その部屋に入って、英語を使いながら日本語について話すということができるんです。私が一番のメリットだと考えているのはここです。

 

先ほどレベル分けがされていると述べましたが、Beginnerの部屋に入ると、当然相手もまだ英語が得意じゃない人なので、オンライン英会話教室程、うまく会話が進みません。やはり英語を学ぶなら、自分よりも英語が話せる人と会話をするのが一番です。そこで勧めるのが、「日本語を学びたい英語圏の人々」と話すことです。最初のうちはこれがめっちゃいいんです。なぜなら、➀「日本語を教える」ことになるので、話題に一切困らない、➁こちらの英語がつたなくても、相手はそれを嫌がらないからです。➀については、オンライン英会話あるあるなのですが、何について話したらいいんだ・・・みたいな状況ってありますよね。日本語で話しててもありますから、英語ならなおさらでしょう。ところが、日本語を教えるという名目がある以上は、話題に困ることは一切ありません。外国人が日本語をどう感じているのか、聞いてみると結構面白いですよ。➁については、お互いが異言語を学習するという状況であるため、母語以外の言語を学習することの難しさを知っている人間どうしで会話ができます。なので、別につたなくても嫌がられる心配もありません。Free4Talkはそういうコミュニティなんです。

 

ここから英会話を始めよう!

オンライン英会話は、金銭的なハードルが若干高いため、もっと手軽に英会話を、Free4Talkで楽しんでみましょう。空いた時間で、寝る前にでも、いつでもどこでもリアルな英会話を楽しむことができます。

まずはここから、英会話を始めましょう!

 

 

 

 

 

【倒置】英語の倒置は強調のためだけではない!倒置に気づくと英語はすらすら読める!

 

まず「倒置とはなにか」から

倒置というのは、言語における修辞法(文章の表現を豊かにする技術)のうちの一つで、語順を入れ替えることを指します。

日本語でも倒置というのは存在していて、例えばワンピースの主人公ルフィの有名なセリフに「海賊王に俺はなる!」というものがありますが、これを「俺はなる!海賊王に!」にすると、なんか「こいつマジで海賊王になりたがってんな」って感じがしなくもないですよね。「海賊王」という語が強調されている感じがします。

さて、倒置は国語の授業でも習いますから、なんとなく「強調」の役割があることには合点がいくでしょう。ところが、これ以外の役割もあるんです。というか、英文法においては、これから紹介する役割のほうが重要かもしれません。いったいどのような役割を持っているのか、一緒に学んでいきましょう。

 

倒置の役割はこの3つ

ここで扱う倒置の役割は以下の3つです。

・強調

・文構造の明確化

・新情報の提示

 

まあ強調はもうだいたいわかるでしょうから、他2つについて、詳しくみていきましょう。

 

※注意

ちなみに、倒置にはまず大きく分けて「強制倒置」と「任意倒置」というものがあります。強制倒置というのは、例えばYou are happy.を疑問文にするときに、Are you happy?と語順を変える(倒置する)ように、文法の決まり上絶対に倒置しなければいけないときのものです。

一方で任意倒置というのは、その名の通り、話し手や書き手がしたいときにする倒置です。この任意倒置の役割を、上記に示す3つとしています。言語学的には厳密には違うかもしれませんが、受験生はこれくらいの理解で十分です。

 

 

文構造の明確化

倒置による文構造の明確化とは、例えば第5文型SVOCの文を書こうとするときに、Oがめっちゃ長くなってCが見えにくくなりそうなときに、語順をSVCOに変更する場合を指します。

※こうした倒置に関して、倒置ではなく「語順転倒」であるとする立場もあるようです。

 

例えばこんな文があったとします。

 


文構造は以下のようになっています。


これ、補語Cを見つけるのちょっと難しくないですか?Oを見つけてからCが出てくるまで距離があります。そのうえ、解釈の可能性として、known to the parentsがa girlに対する修飾をしているということもあり得ます。「両親に対して知らされた女の子を彼が殺したという事実」みたいな訳があり得るということです。このように、目的語が長いせいで、解釈があいまいになったり、わかりにくかったりするときに、あえてCを先に出して、長いOを後ろに配置するということがあります。

 

こんな感じに…

 

我々日本人からすると、こんなことされたら、文構造がわかりにくいと思うかもしれませんが、こうした倒置は、文の構造を分かり易くしようという、筆者の親切心からくるものです。まあよく考えたら、Vの後に来た1語の形容詞なんて、補語Cくらいしかありませんから、いったんCにしといて、次に名詞が出てきたなら、文の要素で今唯一余っているOということにすればいいのです。

 

以上のように、文構造の明確化のために、倒置が起こることがあります。

 

新情報の提示

there be構文の正体

ここ最近の、特に英文読解や長文読解の参考書によく「there be構文は新情報!」と書かれているものを見ます。これ、倒置の性質がわかると、ちょっと違った理解ができるんです。

 

そもそもthere be 構文って何なのかをまずは説明します。なんとなくわかるって人も、いったん読んでくださいね。

 

「私はここにいる」という表現を英語でしようとするとき、「I'm here.」と書きますよね。じゃあ、「たくさんの生徒がそこにいる」ならどうでしょう。同じ理屈で、「A lot of students are there」になりますね。

 

 

じゃあ二つ目のA lot of students are thereを倒置させてみましょう。すると、「There are a lot of students」になりますね。あれ、これなんか見たことある形ですね。

 

そうです。There be構文というのは倒置によって生まれたものなのです。ちなみに、thereは「そこ」ではなく「そこに」という意味の副詞です。Hereも同様に「ここに」を表す副詞です。名詞ではないことに注意しましょう。以上の内容から、構造自体は以下のようになるわけですね。

 

 

何のために語順を変えたのか

さて、なんのために語順を変えたのか、それは「新情報の提示」のためです。ではなぜ、倒置させることが「新情報の提示」につながるのでしょうか。

 

実は、英語は基本的な考え方として、「旧⇒新」の流れで情報を出していくようになっています。つまり左から英文を読み始めて、右にいくほど情報が新しいということです。最後に来る語というのは、比較的新たな情報として、読み手ないしは聞き手に与えられるのです。まあこれは、少し考えてみれば合点がいく話で、私たちは、最初に述べられたことよりも、最後に述べられたことの方が記憶には残りやすいはずです。例えば、極端な話ですが、私が当記事の冒頭に書いたことを覚えていますか?私ですら、見ないと思い出せません笑。でも今読んでいることは頭に残ってますよね。私が「私ですら、見ないと思い出せません笑」とさっき言ったのも、今はまだ覚えているはずです。最後に見たものの方が、記憶には新しく残るのです。

 

となれば、最後に来た情報というのは、聞き手に知ってほしいことのはずです。そして知ってほしいということは、聞き手がまだ知らないということです。よって、わざわざ倒置までさせて、文の最後にずらしたその情報は、新情報といって差し支えないでしょう。

先ほどの例文に戻りますが、例えば長文を読んでいて、「There are a lot of students」と出てきたのなら、それ以前を読んでいても、生徒の情報は得られなかったということです。新情報なのだから当然ですね。

 

このように、倒置によって、読み手や聞き手にとって新たな情報を提示できます。つまり「There be構文は新情報!」というのは、もっと一般化して、そもそも倒置が来たら新情報かも!くらいまで理解しておくと良いでしょう。

 

実際に英文解釈をしてみよう

実際に倒置を読み取るにはどうすればいいのか、問題にチャレンジして理解しましょう。

 

"Hidden Masses." The Economist, 7 July 2018より引用

 

【解説】

文頭にmore significantとあります。significantは「重要な」という形容詞であること、さらにmoreも基本的には形容詞につくことから、普段のように、more significantをSとすることはできません。主語Sになれるのは名詞だけだからです。形容詞になった以上は、名詞を修飾するか、補語Cになるしかありません。周辺に修飾できる名詞もなさそうなので、文頭に主語もないし、形容詞残ったし、倒置が来るかもと予測しておきましょう。普段通りの語順にならないのが倒置ですから、これくらいの予測ができると上出来です。

そうして読み進めるとisが出てきたのでこれをVに、その後ろにあるthe government’s willingness~をSにします。いつもならこれを補語Cにしたいところですから、先述した通り、動詞を見つけた段階ですら主語がない状態だったので、仕方なくSにするしかありません。

以上の内容から、以下のように構造をみとることができます。訳もついでに示しますね。

 

 

 

おわりに

倒置は強調だけが目的ではありません。筆者は必ず、意図をもって文を倒置させています。「違和感に気づいて倒置を見つけること」「なぜ倒置したのかを考えること」これらを意識して、英文を読めるようになると、長文読解もかなり楽になるでしょう。

【関係代名詞】高校以上の知識は一切なしで、関係代名詞を理解しよう!

 

そもそも関係代名詞ってなに?

 まずは、関係代名詞がどのような時に使われるのかを見てみましょう。

 

➀の文では、名詞friendのうしろに、そのfriendがどんな人なのかを説明するカタマリ〈who plays soccer well〉が来ています。➁の文も同じで、名詞bookのうしろに、そのbookがどのような本なのかを説明するカタマリ〈which my father gave me〉が来ています。➀、➁において、〈who plays soccer well〉や〈which my father gave me〉は、名詞を詳しくしているので、役割としては形容詞のカタマリだとわかりますね。 

このように、名詞のうしろにおいて、その名詞を長々と詳しくするときに、関係代名詞を使います。中学生の段階で習うのは、which, who, thatくらいなので、とりあえずこのどれかを名詞の後において、後ろにその説明を加えられるんだと思っておいてください。

 

関係代名詞を使ってみよう

上で説明しただけではさすがに足りないので、実際に関係代名詞を使うにはどうしたらいいのかを、ここでは理解していきましょう。 

まず、関係代名詞というのは、2つの文をくっつけたもの(合成したもの)と理解してください。この意味では接続詞と非常に似た性質を持っているので、接続詞の一種と捉えても構いません。例えば、以下のような2つの文があったとします。

 

 

これら2つの文ですが、2つの文に分けて言うとちょっとしつこい感じがします。というのも、別に「私には上手にサッカーをする友達がいる」とひとことで言ってくれればいいのに、いちいち分けて言われたら、なんかむずむずしてしまいます。よって、これら2つをくっつけて1つの文にして、ひとことで言いきってみましょう。その際、以下に示すSTEPの通りにやるとスムーズにいきます。

 

STEP1 2つの文で詳しくしたい名詞(かぶっている名詞)を探す 

 

2 文で二度も友達(friend)を話題に出していますから、ここで詳しくしたい名詞は friendだと決めます。

 

STEP2 詳しくしたい名詞の隣に関係代名詞(who, which, that)を入れて、文をつなげる 

 

ここで入れる関係代名詞は、詳しくしたい名詞に合わせて、人なら who、モノなどならwhich を用います。なお、thatは人でもモノでも使えます。今回はa friendを詳しくしたかったので、whoを使いました。もちろんthatでも大丈夫です。また、関係代名詞を使うときに、詳しくしたい名詞のことを先行詞と言います。覚えなくてもいいですが、そういう言葉があることくらいは知っておいてください。

 

STEP3 同じ名詞があったら、2つめを消す 

 

英語はとにかく同じ言葉を何度もいうことを嫌う言語です。前にすでに出ている言葉は、例えばitやthey、he、sheなどの代名詞で置き換えるし、言う必要がないときには書くことすらしません。そのため、関係代名詞を使う時には、1つの文の中で同じ名詞は繰り返しません。すでに言っていることをいちいち何度も言いたくないからです。よって、friendは最初に一度出ているので、2 個目は消してしまいます。これで、「1.関係代名詞とはなにか」の➀の例文で出した、「I have a friend who plays soccer well.」の完成です。

 

せっかくなので、1.で出した例文の2つ目、「I have a book which my father gave me.」の成り立ちについても考えてみましょう。もとは「I have a book.」と「My father gave me it.」という2つの文です。さっきと同じやり方で、これらの文をくっつけてみましょう。

 

STEP1 2つの文で詳しくしたい名詞(かぶっている名詞)を探す

 

➁のitとはbookのことなので、詳しくしたい名詞はitでいいですね。

 

STEP2 詳しくしたい名詞の隣に関係代名詞(who, which, that)を入れて、文をつなげる

 

今回は先行詞(詳しくしたい名詞)がa bookという「モノ」なのでwhichを使いました。もちろんthatでも大丈夫です。

 

STEP3 同じ名詞があったら、2つめを消す 

 

今回の文では、前半に出てきたbookが、文の最後でもう一度出てきてしまったので、これを消す必要があるわけです。 

 

以上のやり方で、1.でやった➁の英文「I have a book which my father gave me.」の完成です。なお、一つ注意事項ですが、関係代名詞のうしろに主語と動詞が来たときは、関係代名詞を省略して良いというルールがあります。例えば、今回の「I have a book which my father gave me.」という文ですが、関係代名詞のwhichの後に、my father(父親)という主語と、gave という動詞がありますから、whichを省略して、「I have a book my father gave me.」と書いてもいいわけです。

 

 

以上のように、関係代名詞を使って文を作る場合は、

 

これら3つのステップで攻略しましょう!

 

関係代名詞を読み取ろう

それでは、これまでの知識を生かしながら、実際に関係代名詞を使った文を読み取ってみましょう。以下は、平成27年度北海道公立高校入試第4問からの抜粋です。自分なりに和訳してみてください。

 

 

先に答えを言うと、以下のような訳になっています。

 

少し直訳気味に訳しましたが、概ねこのような感じです。さて、一文ずつよく見てみましょう。2文目の方が関係代名詞を理解しやすいので、先に説明します。 

 

 

分かりやすいように、2つのパーツに分けてみます。

 

 

「1.関係代名詞とはなにか」「2.関係代名詞を使ってみる」をよく読んだ皆さんの中には、すでにifからのカタマリの中にあるthatが関係代名詞っぽいなと思ってくれている人がいるかもしれませんね。正解です。ではなぜこれが関係代名詞なのかを考えてみましょう。 まず、主語と動詞があったらそれを文と呼ぶのですが、英語では文をつなぐには、接続詞や関係代名詞が必要です。ifからのカタマリをもう一度見ると、主語と動詞のカタマリが2つあるのがわかりますか? 

 

 

produce は注釈にあった通り「生産する、つくる」という動詞で、その手前にあるweが主語です。そのまま後ろの方まで読み進めると、thatの後にpeopleとwantが出てきます。want は「ほしい」という動詞ですから、その前にあるpeopleは主語です。よって、このifからのカタマリの中に、主語と動詞つまり文が2つあるとわかります。すると、この2つの文をつないでくれるはしごが必要なわけですから、それを探すと、どうやらthat が文をつないでくれているとわかります。以下のような感じで文が切れて、that がもう 1 つ文をつないだのです。

 

 

関係代名詞は、ただ文をつなぐのではなくて、手前の名詞に対して説明を加える役目を持っていますから、今回の文は、that people want が、手前にあるdelicious productsを詳しくしたのだと理解します。よって、ただのdelicious productsでなくて、people want「人々がほしい」delicious products だったということですね。以上の理由から、訳ができるわけです。 

 

 

それでは、まだ1つ目のIn the future~の文の解説をしていないので、以下で説明していきます。 

 

 

分かり易いように、以下のように分けてみます

 

 

さて、in the future は「将来~」という意味で、ただ文を詳しくするだけなので無視して、I’ll~の文を見ていきましょう。I’ll~produce までピリオドは1つだけなので、当然1つの文としてみなされます。ところが、どうやら主語と動詞が 2 つあるのです。気づきましたか?

 

 

このように主語と動詞のセット、つまり文が2つありますから、文法上は接続詞や関係代名詞が必要なのに、それが見当たりません。そのため、「省略されている」と推理して、勝手に追加してしまいましょう。今回は名詞であるmilkのうしろに主語と動詞が来たので、関係代名詞としてthatを足してあげます。 

 

 

これならすっきり理解できますね。my family producesが関係代名詞thatによってI’ll make~from milk までの文とつながって、手前の名詞milkを詳しくしたと考えられます。ただのmilk ではなくて、my family produces「私の家族が作る」milkだったということです。以上のことから、以下のような訳に行きつくのです。

 

 

 

関係代名詞を見抜く!

ところで、気づいた人もいるかもしれませんが、関係代名詞ではないthatも英語には存在しています。いくつか例を出します。

 

 

全部thatを使っていて、さらにthatのうしろに主語と動詞があるので、接続詞か関係代名詞のどれかだというところまではわかるでしょうか。では、どれが関係代名詞かわかりますか?ここまでテキストを読み進めたなら、何となく➂のthatが関係代名詞っぽいなと思えるかもしれませんね。確かに正解は③ですが、なぜ➂のthatは関係代名詞と言えるのでしょうか。

 
さて、関係代名詞とは、「名詞を詳しくするカタマリ」を作るもののことでした。よって、that の役割から考えるなら、「手前に名詞があれば関係代名詞の that だ」と捉えて判断するのも悪くないでしょう。確かに➂は、thatの手前にhouse(家)という名詞がありますから、その判断基準でも大丈夫そうです。ただここで問題となるのは、thatが省略される場合があることです。例えば上記の➀・➁の文はthatを省略して以下のようにも表せます。

 

 

こうした文の読み取り方も言語化しておきましょう。まず、接続詞や関係代名詞が無いのに、主語と動詞のカタマリ(=文)が2つ以上並んでいたら、自分で接続詞や関係代名詞を補うようにしてください。つまり、➀や➁のような文を見たら、自分でthat を追加するということです。 

 

 

この後の判断は、もうthat があるときと一緒で、手前に名詞があったら関係代名詞です。もう少しこの判断方法を簡単にすると、名詞の後に主語と動詞があるなら、関係代名詞を追加してみるといいでしょう。

 

 

おわりに

ここまでお疲れさまでした。「関係代名詞の役割は何か」「関係代名詞をどのように使うのか」「関係代名詞がある文をどのように読むのか」「関係代名詞をどのように見抜くのか」、これらを今理解できていますか?もし怪しい箇所があれば、前に戻って読み直し、持っているテキストで問題を解くなどしてみてください。

 

【共通テストで英文解釈③】文構造の予測をしつつ、異変に気づいたら修正しよう!

 

はじめに

【共通テストで英文解釈】第3弾!今回は2023年度共通テスト第6問Bからの出題です。

これまでの記事は以下からどうぞ!

※当シリーズにおける学習の進め方は、第1弾(以下のリンク)に示してあるので、ぜひご参照ください。

 

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問題編:【共通テストで英文解釈③】問題編.pdf - Google ドライブ

解説編:【共通テストで英文解釈③】解説編.pdf - Google ドライブ

 

問題①

【解説】

なんだか動詞needとareが並んでいて、どれをVとしたらよいのかわかりませんね。これらの処理から入っていきましょう。まずtheyというのは「主格」と言って、主語になる形(=格)になっていますから、後ろにある動詞needとtheyに主語と述語の関係にあるのでしょう。残った動詞areについてですが、これの主語は絶対に複数形です。手前に複数を表す語はtheyとallだけで、theyはもうneedに使ってしまったので、areの主語はAllのみです。今の段階では以下のように分析できます。

 

さて、ここでAll S+Vについて考えます。

 

①allは名詞(厳密には代名詞)としての役割をもつこと。

ジーニアス英和辞典には以下のような記載があります。

出典:ジーニアス英和辞典 第5版

②needの目的語が欠けていてthey needは不完全文であること。

⇒関係代名詞の節は常に不完全文

 

の2点から、Allとtheyの間には関係代名詞が省略されていて、All (that) they need areで「彼らが必要なすべてのことは」と訳すことができます。ちなみに、theyというのは、この話ではクマムシのことでした。

 

あとは特に難しいことはありません。be動詞は補語をとるので、areの後ろCになりうるものを期待します。orはandなどと同様に、「同じものをつなぐ」等位接続詞なので、前後にある名詞をつないだとみて、areの補語Cは、a few drops or a thin layer of water to live inです。to不定詞のカタマリto live inは、手前の名詞(drops「水滴」やwater「水」)に修飾する形容詞的用法「~するための」ととってもいいですし、または、副詞的用法「~するために」と解釈してもいいでしょう。個人的には後者の方が妥当と感じたので、こっちを採用します。

 

ここまでの内容をまとめて、解説と訳は以下のようになります。

 

問題②

【解説】

前半のwhen節は特に問題ないでしょう。「水が乾き切ると」くらいがいいでしょうか。ところでこのupですが、よく何かの動詞とくっついて、句動詞や熟語のような立ち回りをしますが、実際のところup自体はただの「強調の副詞」なので、元の動詞の意味をちょっと強めれば、基本的に訳が作れます。例えば…

 

eat 食べる⇒eat up 食べきる

clean きれいにする⇒clean up(ほこり一つもないくらいに)きれいに掃除する。

pay 払う⇒pay up (借金などを)全部返済する

 

などのような感じです。dryは「乾く」という意味ですから、dry upなら「乾き切る」くらいが妥当でしょう。

 

問題は後ろのso do theyですね。まずsoには、「副詞」「接続詞」の役割があります。「副詞」は様々な使い方があるのですが、「接続詞」というのは等位接続詞soのことで、「だから」という訳が一般的です。ただ、When the water dries up, so do they.という文では、節が2個なのに対して、whenという接続詞がすでにもうあるので、これ以上接続詞はいりません。よって、soは「副詞」だとわかります。

 

この後が問題で、soの後ろが明らかに倒置しています。theyというのは主格、つまり主語になる形(=格)です。I my me mineの「I」と同じですね。よって、主語にならなければいけないので動詞が必要です。もう使える動詞はdoしかないので、後半の節は、doがV、theyがSです。これで倒置に気づけましたね。

 

さて、ここで1つ覚えてほしいのが、soを使った同意表現です。辞書には以下のような記載があります。

 

出典:ジーニアス英和辞典 第5版

soを使って、「まさにその通り」「~もそうだ」と同意を示すことができるようです。なお、倒置した場合、つまりso do Sの語順の時は、「Sも(また)そうである」で訳しますから、今回のso do theyも同じように訳しましょう。

ここまでの内容をまとめて、解説と訳は以下のようになります。

 

 

問題③

【解説】

Exactlyは「正確に、厳密に」などの意味を表す副詞なので、この後にSやVなどを探していきます。するとhowがあって、they achieveと節が続きます。achieveは「達成する」という動詞ですから、これだけだと「何を?」と聞かれてしまうので、後ろのthisがその目的語でしょう。となるとisの主語はその全体にするしかなくなります。

間違っても、this isをつなげたらなんかいい感じ!とか思ってはいけません。それだとachieveの目的語がなくなって説明がつきません。あくまでもhow節がいつ終わるかなと待ち構えて、次に動詞が出てきた時点で区切りましょう。stillとfullyについてはただの副詞ですから無視して、understoodを見つけたので、isとunderstoodで「be動詞+過去分詞」の受け身(受動態)と認識しましょう。

 

以上の内容から、解説と訳はこんな感じになります。

 

問題④

【解説】

This meansとS・Vが見えたので、mean「意味する」に「何を?」と聞いて、その答えがthat以下となります。「何を?」と聞いて返ってくる答え、つまり目的語は名詞だけなので、thatが導くのは名詞のカタマリ(名詞節)になるのでしょう

 

ではここからthatの中身についてみていきましょう。

まず前置詞forがあるので、()でくくりましょう。かっこを閉じるタイミングは名詞が出てきた時ですから、for 10 daysで1つのカタマリです。となると、mostがS、were able to surviveがVと考えられます。mostは基本的に「大半の」という形容詞で使うので、本当はこの後ろに名詞があるのですが、前にその名詞が出てきているときや言わなくてもわかるときは省略できます。例えば、Most people have their own smartphone.をMost have their own smartphone.としても良いということです。先述した通りこれはクマムシについての話なので、本当はmostの後ろにあるべきtardigrade(クマムシ)が省略されています。

 

※wereをV、ableをCとするのが厳密には正しいですが、were able to survive「生き残ることができた」ごとVとするほうがこの後の解釈が楽なのでそうします。

 

さて、surviveは「~を生き延びる」という他動詞です。当然「なにを?」と聞いて、後ろに目的語を期待します。ちょっと目線をうしろにやると、等位接続詞andが見えたので、andの後ろにはultraviolet radiation「紫外線」という名詞がありますから、手前の名詞X-raysと一緒につないだものとみて、X-rays and ultraviolet radiationをOとします。

 

次に後ろの1,000 times more intense than here on earthについてです。これは例えば、

 

 

と同じで、差の程度+比較級の形をとっています。timesは「~倍」という表現です。timeとは全く別の単語ですから注意しましょう。よって、1000倍+intense「激しい」ということです。here on earthは、直訳すると「地球上のここ」ですが、「地上」くらいに訳しておきましょう。よって、後半部分は、「地上の1000倍も激しい」となります。なお、「地上の1000倍も激しい」のは当然、X-rays and ultraviolet radiationでしょうから、1,000 times more intense than here on earthは、手前にある名詞に対して修飾する、形容詞のカタマリだと捉えましょう

 

以上の内容をまとめて、解説と訳は以下のようになります。

 

 

 

おわりに

英文を読むときは、この後にこういうのが来るんじゃないかな?と予測し、もしその予測が外れたなら、自分が知りうる知識をフル活用して修正しましょう。また、今回は倍数表現と倒置について、文法書などで確認しておくと良いでしょう。

「日本人は英語を話せない!」という問題意識について思うこと。

日本人が英語を話せないのはなぜか

 

といった具合に、日本人と英語についての問題を論じるものを幾度となく目にしてきました。私が英語教育について大学で学んでいたからというのもあるでしょう。別に私もペラペラ話せるわけではない(自分はペラペラ話せると思っていない)し、この「話せない」がどこまでの範囲を示すのかはわかりませんが、個人的には「話せない」側にいると思っています。ただ、この「話せない」が悪だと、一部の英語学習者は考えています。いや、英語教育の分野で研究している教授ですらも。まあ、最近の文部科学省も授業はオールイングリッシュでやろうぜって感じですし、そういう気持ちになるのも無理はないでしょう。

 

私は、日本人が英語を話せないのは、今まで英語を話す必要がなく、なんならこれからも話せなくてよさそうだからだと考えています。つまりは、「英語が必要である」という焦燥感に、まったく迫られなくてよい環境が日本であるということ、そしてその環境の中にいるのが私たち日本人だということです。

 

もう何年も、下手すれば数十年前から、「グローバル化」という言葉が使われて、異なる価値観を認め合おうという考え方が、国境を越えて広く浸透しつつあります。その異文化を知る手段の1つとして、他言語を学ぶことが挙げられるわけですが、その学んだ他言語を使うのは、

 

①日本人がほかの文化圏に所属する場合、

②他文化圏から日本の文化圏に入る場合

 

です。①は日本人目線、②は外国人の目線ですね。先述した議題である「日本人は英語を話せない」とは、見たところ①の側面を見えない前提とするものが多いように感じます。というのも、グローバル化というワードから、我々日本人が、異国の人々とコミュニケーションをとらなければならない場合があって、こちらが話せる能力を持たねばならないということを考えがちなのですが、これは①のように、他文化圏に対して、足を踏み入れることを前提として語られているのです。確かに、現在では東京なんかが格好の例かと思いますが、街を歩けば外国人に会う機会も多いでしょう。特にコンビニなんかは、今は店員ほぼ全員は外国人ですから。ただこれは②の例であって、彼らは日本にいる以上、日本のオフィシャルな言語、つまり日本語を話すのが筋です。よって、「外国人」とされる彼らは、たとえ拙くとも、英語ではなく日本語でのコミュニケーションを試みます。つまり、①の状況になんてほとんどならないのに、①の状況を今の世の中の状態であるかのように、ずれた形での議論が進んでしまっているのです。②の状態であれば、我々が英語を話せる必要は全くありません。

 

さて、次に情報にアクセスする場合の「英語」についても話します。一説では、インターネット上に存在する情報のうち6割が英語で、日本語で書かれた情報はたった3%程度だそうです。なにかについて知ろうとするとき、我々は「英語」というツールなしでは、欲しい情報にフルにアクセスすることが難しいのです。翻訳を使えばいいだろうという意見もあるでしょうが、英語と日本語というのは、たとえ同じことを表そうとしても、「訳」によって「意味」が必ずしも対応するわけではありません。例えば、日本語で「愛してる」というと、まず使わないし、使っても恋人に対してですが、I love youになると、家族や友人に対してなど、もっとフランクに、カジュアルに使えます。こんな例が、ほぼ無限にあるのです。

よって、英語を見聞きして英語を理解するスキルがあればたいていのことは、十二分に情報を享受できるわけです。さて、「日本人は英語が話せない!」とスピーキングの能力の低さばかりに焦点が当てられがちですが、どうやらリーディングのスキルは他国に比べてそれなりに高いようなんです。逆にスピーキングに強い国は、リーディングに弱かったりもします。少なくとも、そこそこの数の日本人が、英語を読む能力について言えば、若干のアドバンテージを持っている状態です。これは皮肉にも、文法訳読式と情報処理ばかりをやり続けた日本の英語教育の産物ともいえるでしょう。

 

情報にアクセスするときは「読むこと」がメインになります。よって、日本人は「読んで」情報を集める分には、おおよそ困りません。まあ最悪の場合は翻訳すればよいですし。となると、英語を話す「必要性」はあまり感じませんね。

 

まとめると、英語を話す必要性はそこまで高くありません。それなのに、それをできないことに対して咎めるのは、いささかお門違いに感じます。日本は「英語を話せない国」なのではなく、「英語を話せなくていい国」というだけなのではないでしょうか。そんな環境の中で英語を勉強し続ける人がもしいるなら、いうまでもなく私含め、狂人です。それだけ特異なものなので、たかがTOEICが高得点なだけで、とてつもない付加価値が付くのです。英語を話せるようになるのは、もう趣味とかそのあたりの領域です。一般の人生には、おそらく「必要」ではないのでしょう。もちろん、話せた方が絶対に良いですよ。

 

教育について功利主義的な批判をするのは好きではないのですが、ちょっと思うことがあったので書いてみました。皆さんはこうした問題意識をどう感じますか。

【英文法】なぜ驚くは「be surprised」なのか。感情と受け身の関係を理解して、ついでに試験に生かそう!

 

言語と感情

まずは以下の例文を見てください。


よく見る文ですね。この程度であれば中学英語でも習います。be surprised at~で「~に驚く」です。ところが、英作文で出すと、途端に書けなくなる人が続出するんです。というのも、I surprised at the news.って書くんですよ。

 

今回は、英語という言語で、人間の感情はどのように考えられているかを理解しましょう。

 

感情は受け身であらわす

そもそもの「感情」について考える

まず、もう一度、さっきの例文を見てみましょう。

 

 

be動詞のwasがあって、~edの形のsurprisedが見えるので、「be動詞+過去分詞」で「受け身」の形になっているのがわかりますか?訳は「驚いた」なのに。

 

なぜ受け身なのかを考えましょう。こんな状況を想像してみてください。

 

あなたが家に帰ってドアを開けると、中で待ち伏せていた私が「わぁっっ!」と大きな声で言ってきました。あなたはこの時何と言いますか?

 

おそらく99%「うわ!びっくりした!」ですね。さて、あなたは本当に「びっくりした」のでしょうか。

 

例えば、あなたは今日朝食を「たべました」し、学校にも「行きました」。このあと「お風呂に入る」人もいるし、「勉強する」人もいるでしょうね。さて、「たべる」「行く」「お風呂に入る」「勉強する」というような「行為」は、すべて自分の意志で実行するものです。気づいた学校へ行ってたり、知らないうちにお風呂に入っている人なんていませんからね。自分がやろうと思って、その行動をとっているわけです。とすれば、「驚く」というのは、本当に正しい表現なのでしょうか。だって、「~する」という行為は自分の意志でやるものであるはずなのに、驚こうと思っても驚けないんです。いや確かに、驚いた演技はできますよ。でも本当に驚くということを、自分の意志でやることなんて不可能です。

我々が驚くためには、驚かせてくれるものが必要です。例えば、さっき上げた例だと「私」で、それに驚かされたのは「あなた」です。「あなた」はあくまでも驚かされた側なので、「~される」という意味で使う「受け身」によって、その表現をするのです。

 

文法的にも考えてみる

辞書でsurpriseを引いてみましょう。こんな風に出てきます。

出典:ジーニアス英和辞典 第5版


やはり「驚く」ではなく、「驚かす」です。当然「何を?」と聞けるので、驚かす対象を目的語にとる他動詞なわけですね。

冒頭でこんな例文を挙げました。

 

 

これはもともとは…

 

 

なんです。この文の目的語であるmeを主語にして、受け身の文に書き換えたときに、be surprised atの形になっているわけです。もともとが他動詞であることを知れば、人(驚かされる側)が主語になって、受け身のような形になることにも納得がいくでしょう。英語には「驚く」という行為を表す言葉はなく、あくまでも「驚かす」を軸に表現を作っているのです。

 

他の感情の動詞

ほかの感情系の動詞についても、受動態か能動態かという点でとらえなおしてみましょう。

excitedとexciting

中学あたりでならったこの2つの単語ですが、意味は、excitedは「わくわくして、興奮して」、excitingは「興奮させる、刺激的な」です。違いは「人が主語ならed」「物が主語ならing」と習いませんでしたか?実際に、私が担当する生徒も、初めはこう習ったと答えていました。この覚え方はちょっと良くないですね。

surprisedにも同じことが言えますが、edやingがついてあるということは、もともとは動詞があったということです。辞書でexciteを調べてみましょう。

 

出典:ジーニアス英和辞典 第5版


やっぱりsurpriseと同様に、「興奮させる」という他動詞です。だから、これを現在分詞にしたexcitingは「興奮させている」だし、過去分詞excitedは「興奮させられた」なんですよ。別に訳とかどうでもいいんです。元の動詞にingが付いたり、edが付いたりしているだけです。人か物かなんて関係ないですよ。「興奮させる」人だっているかもしれませんから。

 

例)

▶下線部はただの現在進行形

⇒私に対して(to me)、that propositionはわくわくさせていない

 

▶下線部はただの受け身

⇒映画に行くことに対して、わくわくさせられている

 

あれexcitingって「わくわくして、興奮して」「興奮させる、刺激的な」どっちだっけ?となるくらいに、この2つの訳は相当に紛らわしいです。だからもう覚えるのいったんやめましょう。わくわくしているのか、わくわくさせられているのか、それだけです。

 

boredとboring

boredは「うんざりした、退屈した」、boringは「退屈な」です。いや紛らわしすぎますねさすがに。

boreも同じように辞書で引きましょう。

出典:ジーニアス英和辞典 第5版

やっぱり他動詞ですね。例文と一緒に2つの違いを見ましょう。

▶下線部はただの受け身

⇒彼の講義に退屈させられた

 

▶下線部はただの現在進行形

⇒この本は(私を)退屈させている

 

結局は「退屈させているか」「退屈させられているか」、その違いです。主語がどうとか、訳が紛らわしいとか、そんなのはどうでもいいのです。文の構造と、立場が分かれば、訳は非常に簡単です。

 

 

語の推測の手段が1つ増える

以上の知識が、語の推測に役立つときがあります。以下の文章を読んでみましょう。

出典:高知大学2016

実際に問題として出たわけではありませんが、enthralledの意味を知っている受験生はほぼいないでしょうから、いままでの知識を生かして、これを推測してみましょう。完全にあてるのは無理でも、何となくこんな意味かな?くらいまではいけますよ。

 

さて、why Ramirez family and everyone else are enthralled by the giant panda cubとありますね。are enthralled byの形から受け身であること、そして Ramirez family and everyone elseつまり「Ramirezの家族とほかのみんな」という人が主語になっていることから、「人が~される」までわかります。このことを根拠に、例えば、I am surprisedのように、enthralledはもしかしたら「感情」に関わる動詞なんじゃ?と推測します。もちろん違う可能性はあります。けどわからない単語が出てしまった以上は、ある程度ヤマをはるべきです。

 

では、どんな感情でしょか。まずはポジティブな感情か、それともネガティブかを考えましょう。

 

第1段落目には、「JorgeとMaria Ramirezとその6歳の息子は、ジャイアントパンダの赤ちゃんを見ながら笑っている。彼らは動物園で、歩けるようになったパンダの赤ちゃんを見ている大群衆の中にいた。」とあります。どうやら動物園で、可愛いパンダの赤ちゃんを見ているようです。もうこの時点でなんだかポジティブな感情を抱いてそうですね。

 

問題となる第2段落の一文目には、わからない単語はそのままにするとして、こんなことが書いてあります。

「専門家によれば、ラミレス一家をはじめ、誰もがジャイアント・パンダの子にenthrallされるのには理由があるという。」

誰もがパンダに「~される」ということは、つまり、パンダに対して誰もがなんらかの感情を抱くということです。第1段落から、butやhoweverなどの逆接の接続詞(または接続副詞)が使われたわけでもないので、すくなくともパンダに対するネガティブな感情はないでしょう。よってポジティブな感情としてとりましょう。

 

パンダに対して抱くポジティブな感情なら、例えば、「ほっこりする」「幸せな感じがする」「ひきつけられる」「魅了される(うっとりする)」などでしょうか。無限にある感情表現から、ここまで絞れたならもう十分でしょう。だいたいそんな意味だろうと思っておけばいいのです。

 

試しに辞書でenthrallとenthralledをひいてみました。すると…

出典:ジーニアス英和辞典 第5版

とありました。「魅了される」と言い換えて差し支えないでしょう。こうやって、文法や語法についての理解が、未知の語に対する予測につながっていくこともあるのです。すこしでも英語と向き合う上で有利になるなら、覚えておいて損はないでしょう。

 

おわりに

英語と日本語では、感情にたいするとらえ方が根本的に違います。感情は、人間の意志による行動ではありません。そう思わせるものがあって始めて、私たちの感情は表出するのです。人だから、物だから、という覚え方ではなく、もっと根本的な部分で理解しましょう。