レクシプローラの英語放浪ブログ

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【共通テストで英文解釈②】何となくではなくて、根拠を持った訳をしよう!不完全文と完全文、ingの可能性について。

 

はじめに

【共通テストで英文解釈】第2弾!今回は2022年度共通テスト第5問からの出題です。

第1弾は以下のリンクからどうぞ!

※当シリーズにおける学習の進め方は、第1弾(以下のリンク)に示してあるので、ぜひご参照ください。

englishmate1031.hatenablog.com

 

問題編 【共通テストで英文解釈②】問題編.pdf - Google ドライブ

解説編 【共通テストで英文解釈②】解説編.pdf - Google ドライブ

 

問題①

 

【解説】

文頭に名詞His familyがあるのでこれをS、直後に来たdid not haveをVとします。haveだけだと「何を?」と聞けてしまうので、目的語が欲しいわけですから、後ろの名詞electricityがOですね。untilは接続詞で「~までずっと」という意味です。また、andは「同じものをつなぐ」等位接続詞です。後ろにはhe was excitedと節があるので、前にある主節His family did not have~をつないだと考えましょう。to find a generatorについてですが、excited「わくわくした」のはなぜかという説明になっています。形容詞excitedを修飾できるのは副詞だけなので、to findのカタマリは、to 不定詞の副詞的用法で、訳は「~して」が適当です。ここまでで、訳の方針は「彼は電気を持っていなくて、発電機を見つけてわくわくした」とざっくり決まります。

 

ここから細かいポイントについて話しますね。まずHis family did not have electricity until he was 12 years oldについてですが、直訳すると「彼の家族は、彼が12歳になるまでずっと電気を持っていなかった」となります。12歳になるまでなかったということは、12歳になってからは電気があったと言い換えられますから、「彼の家族は、彼が12歳になって初めて電気を持った」と訳すこともでき、こちらの方が自然な感じがしますね。よく熟語や構文として、not~until…「…して初めて~する」というのがありますが、別に暗記しなくても、直訳から十分に導き出せます

 

次にダッシュ「―」という記号に挟まれた部分の役割について考えます。

と書いてありますね。a generatorというのは発電機という意味なのですが、後ろには「電気を生み出す機会」とあります。言葉は違えど、まったく同じことが書いてありますね。ここの役割は、a generatorという名詞がどんなものかを、ダッシュ「―」に挟まれた部分が詳しく説明しています。こういった、後ろの名詞(名詞句)が、手前の名詞(名詞句)を説明することを、「同格」の表現と言います。詳しいことはここでは割愛するので、お手元の文法書でチェックしてみてください。

 

when以降は別に難しくもなんともないので、ここまでの内容をまとめて、解説と訳は以下の通りです。

 

 

問題②

 

【解説】

be interested in Aで「Aに興味がある」が見えますね。その先にあるandは、後ろにelectrical「電気の」という形容詞が見えるので、手前にも探すとmechanical「機械の」という形容詞がありますから、「同じものをつなぐ」andはこの2つをつないだのでしょう。ここまでで、「彼は機械や電気の技術にとても興味を持っていた」と訳が決まります。

 

問題は後ろのreadingですね。多くの人は「コンマの後ろにingがあるから分詞構文だな」と考えるかもしれませんが、それだけだと根拠が弱いです。普通に、コンマが無い分詞構文もたくさんあるので。

 

ingを見た段階で、それが動名詞(名詞の役割)」「現在分詞(形容詞の役割)」「分詞構文(副詞の役割)」のいずれかである、3つの可能性があります。それぞれ考えてみましょう。

 

動名詞(名詞の役割)

⇒名詞は英文の中で、主語S・目的語O・補語C、または前置詞の後ろに来ること以外には、基本的に役割がありません。S・O・Cは、コンマの前ですべて文型が終わっているので入れられる余地がないし、readingの前に前置詞があるわけでもないので、動名詞はなさそうです。

 

現在分詞(形容詞の役割)

reading any information he could find in the subjectという2語以上のカタマリになっています。もし現在分詞であるなら、2語以上の時は、修飾したい名詞の後ろに置くルールがあるので、手前に修飾できそうな名詞があるべきです。それもないので、現在分詞はなさそうですね。

 

よって残った分詞構文で処理しましょう。訳の候補はたくさんありますが、「~して」でとりあえず訳すとOKです。

 

このあたりの内容は以下の記事を参照すると良いでしょう。

englishmate1031.hatenablog.com

englishmate1031.hatenablog.com

 

reading any information he could find in the subjectの部分についてもう少し詳しく。

information の後ろにhe could findとあります。findの目的語が無いので、これは英文の必要な要素が欠けてしまっている文、いわゆる「不完全文」です。よって、関係代名詞が省略されていると考えて、

reading any information (that) he could find in the subjectととらえ、he以降がinformationの説明となります。

関係代名詞が導くカタマリ(節)は、必ず文の必要な要素(主語S、目的語O、前置詞の後ろに来るはずだった名詞のいずれか)が欠けています。そのため、不完全文を見たら、関係代名詞かもと思っておきましょう。

 

以上の内容から、解説と訳は以下のようになります。

 

問題③

 

【解説】

文の冒頭に見えるhowever, in the final roundは「しかし、最後のラウンドで」と、文型にはかかわってこないカタマリ(副詞・副詞句)なので、無視して、この後に来るであろう節をみとります。

 

するとthe teacherという名詞があるので、これを主語Sにして、この後には動詞Vが来ると思いながら読み進めます。hadという動詞が見えますが、これは関係代名詞whoが導くカタマリの一部ですから、本命のVではありません。もっと読み進めると、gaveがでるので、これならVにできそうです。ここまでで、the teacher~がS、gaveがVですね。gaveだけだと「何を?」与えるのかわからないので、後ろにある名詞evidenceがOです

 

この後にthatがあって、後ろには節が続いています。名詞の後ろにthatがあって、そのあとに節があるなら関係代名詞っぽいなと思うのが自然ですが、全然不完全文になっていません

Farnsworth(S)、did have(V)、the idea(O)で、そのあとも前置詞のカタマリが並ぶだけなので、欠けている要素が無いのです。

このように、名詞の後にthatが来て、そのthatが何も欠けていない文(完全文)を導く場合、それは同格のthatとなります。同格のthatとは、手前の名詞がどんなものであるか、その内容を示すもので、訳は「~という…」となります。よって、

とは、「Farnsworthがideaを持っていなかったという証拠」のように、概ね訳が決まります。

 

あとは前置詞のカタマリを1つずつ処理するだけですね。まとめると以下のようになります。

 

 

おわりに

お疲れ様でした!今回は同格と関係代名詞の区別(完全文と不完全文)と、ingの3つの可能性について理解しておきましょう!

【共通テストで英文解釈①】共通テストで出た英文で、英文解釈をしてみよう。

 

【共通テストで英文解釈】シリーズを始めます!

最近ふと思ったんですけど、共通テストの過去問(赤本とか黒本とか)って、英文の訳は載っていても、文構造へ言及があるものってかなり少ないですよね。というわけで、それを私がやることにしました。

 

このシリーズでは、共通テスト(ネタが切れたらセンター試験も)から実際に出題された英文の中から、受験生がちょっと解釈に苦戦しそうだなと思うものを厳選して解説します。

 

※品詞や文型の内容がまだ怪しい人は、必ず以下の記事を参照してください。

englishmate1031.hatenablog.com

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対象

・大学受験で共通テストを使う人

TOEICのリーディング対策をしたい人(単語が違うだけで文法のレベルは同じです)

・英検2級以上を目指す人

・シンプルに学びなおしたい大学生や社会人

・普通に趣味で英語やってる人

・バイトで塾講師をしている人

など

 

 

学習の進め方

毎回2種類のプリントをPDFファイルで用意します。1つは「問題編」、2つ目は「解説編」です。ただ、「解説編」はかなり簡潔に書くため、解説が物足りないので、くわしいことは記事の中で書きます。それをまとめたものが「解説編」に載っていると考えてください。

 

できれば2つのプリントは印刷して、特に問題編は書き込みながらやると良いでしょう。図解編のプリントに関しても、記事の中の説明で、自分に役立ちそうだと思ったら書き込みなど自由にしてください。

 

実際に英文解釈をしてみよう!

「図解編」はまだ見なくていいので、「問題編」に取り組んでみてください。今回は、全3問で、2021年度共通テスト第4問からの抜粋となります。

 

【問題編】

【共通テストで英文解釈①】問題編.pdf - Google ドライブ

 

 

【解説編】

【共通テストで英文解釈①】解説編.pdf - Google ドライブ

まずは1つ目の問題から。

文頭にはAsがあり、そのあとにyou told usと節が続いたので、接続詞のasだと判断します。接続詞のasには訳がいくつかあり、「~するように」「~するとおり」「~なので」「~とき」などがあります。ここを読んだ時点ではこのどれが適当かを判断できなくてもかまいせん。後ろの文脈次第で訳を調節しましょう。

ところで、「~なので」「~とき」などの訳を持ち合わせることからわかる通り、asは様々な接続詞の代用として使うことができます。見方を変えれば、接続詞をbecauseにしようかな、ifかな、それともwhenのほうが… と考えずに、とりあえずasを入れておけば、それだけで意味が通じるということです。それをこっちが文脈の判断なしで適切な意味を選ぶのは難しいので、まあ後でいい感じのやつを決めましょう。とにかくasはちょっと雑な接続詞くらいに覚えてください。

後を読むとわかりますが、ここでは「あなたが言った通り、」が妥当でしょう。

 

次に、asのカタマリがコンマで終わって、the students~と始まります。文頭に来た名詞は基本的には主語になるので、これをSだと思って、Vを探しに行きます。ちょっと後ろまで読んでみると、are supposed to giveが見えたので、これをVにしましょう。areのみをVにするのが文法的には正しいですが、ここはare supposed to giveごとVにしたほうが楽です。ちなみにbe supposed to do で「~することになっている」という意味になります。

from both schoolsは、手前の名詞the studentsに対する修飾、つまり名詞を詳しくする形容詞っぽい役割をしているとみて、the studetns from both schoolsは「両方の学校から来た生徒」とでも訳しておきます。

 

次に、give「与える」だけだと「何を?」と聞けるので、この後の名詞presentationが目的語O、残りはすべて前置詞のカタマリなので修飾語句Mととして()でくくりましょう。前置詞のカタマリ(前置詞句)は、基本的には修飾語句にしかならないので、()でくくりだして、文の骨組みを見えやすくすることをおすすめします

 

そんなわけで、まとめると解説と訳はこんな感じになります。

 

続いて2つ目の問題です。

文頭にはLuckily「幸運にも」という副詞が来てコンマが打たれました。節はこの後から始まります。

 

the professorが最初に見えたので、これを主語Sととらえて、後ろにVを探しに行きます。するとwill give ~と見えてきたので、ここをVとできますね。よって、その手前の名詞句the professor in chargeがSです。

 

ところで、このin chargeはどう訳しましょう。ここで1つ熟語を覚えてほしくて、それはbe in charge of A「Aの担当である(Aを担当する)」です。文法・語法の問題集には必ずと言っていいほど載っている表現ですね。長文でも良く出ますから、覚えておきましょう。例えば、

 

 

のように使うことができます。ちょっとこの例文について詳しくみてみましょう。in chargeは前置詞句で、ここでは形容詞として補語っぽい役割をしています。だって、主語のIの状態を説明してますよね。英文法導入講座②-2で、前置詞のカタマリは形容詞は副詞の働きをすること、そして英文法導入講座③で、補語は形容詞か名詞であることを学びましたね。つまりは、前置詞のカタマリは形容詞の役割になれるので、補語になることがあるのです。上の例文は、IがS、amがV、in chargeがCとなっていたんです。

 

上記の内容から、be in charge of Aという熟語において、in chargeという前置詞句は形容詞の役割をしていることがわかりました。となると、問題のthe professor in chargeについても、in chargeが形容詞として、名詞the professorを修飾しているはずです。よって訳は、「担当の教授」となります。

 

あとは簡単で、will giveの目的語がa short talkになり、前置詞句を()でくくってしまえば、1つずつ訳していけます。

 

というわけで、解説と訳は以下になります。

 



お疲れ様でした!

英文解釈の勉強は、訳せるよりも、まずは正しく文構造が見えていたかを重視しましょう。根拠のない訳など、まったく意味がありません。正しく考えて訳すことが、英文解釈において最も重要なのです。では、第2弾もお楽しみに。

【リスニング勉強法】シャドーイングもディクテーションも合わない人へ。リスニング用の勉強が2週間でも高得点が取れた私の勉強法

すみません!ちょっとタイトル詐欺です!

すこし仰々しいタイトルにしてしまいましたが、これは半分本当で半分嘘です。私はセンター試験(今は共通テスト)で、リスニングを50点中44点取ったのですが、センターリスニングのためだけの勉強をしたのは、試験の2週間前でした。まあもちろん学校の授業で練習したり、模試で解いたりというのはありましたが、それでもほとんどまじめにリスニングの勉強をしてはいませんでした。それなのに高得点が取れたのです。今回は、シャドーイングやディクテーションなど、巷であふれるリスニング勉強法が合わなかった人向けに、私の勉強法を紹介しようと思います。

 

リスニングの勉強がめっちゃ嫌いでした

私も何度もリスニングの勉強法を調べて、ディクテーションやシャドーイングをやってみたのですが、ぜっっっっっっっっっっんぜん続きませんでした。本当もう悲しいくらいに。まず、面白くないんですよ。つまんない内容の会話やスピーチを聞いて、スクリプトみて、発音してみて、行けそうだったら聞きながら発話してとか、飽きちゃうんですね。

断っておきますが、ディクテーションやシャドーイングは、リスニングの勉強においては最強です。これの効果を否定するつもりは全くありません。実際大学生になってからTOEICのために勉強する際にやりましたが、1か月くらい続けるとリスニング爆伸びしました。

けれども、とにかく面白くなくて、高校生の頃はダメでした。

 

Youtubeを見まくることにした

私はスマホ大好き人間でして、受験期であろうとスマホ見まくりでした。そんな奴がスマホから離れてリスニングに集中するとかは無理だったので、「あ、スマホYoutubeみよう。英語で。」とあるときひらめいたんです。

それでyoutubeの検索欄に、今までは「英語 リスニング 勉強法」とか打って自分に合う勉強法ないかなーと毎日のように探していたんですけど、「これ別に日本人の動画じゃなくてよくね?」と思い、「how to improve listening skill」とか、思いつく単語適当に打ってみたら、結構いろんな動画出てくるんですよ。しかも英語を教えるチャンネルなだけあって、発音はクリアで分かりやすいし、字幕もついているので最高なんです。

そんなこんなで、「まあこれをリスニングの勉強ってことにしちゃおう」と考えて、英語圏の人が投稿しているyoutube上の動画を、寝る前に30分くらいは見るようになりました。スマホ依存の私にとって、youtubeを見ること自体のハードルは皆無だったので、なんにもつらくありませんでした。飽きたら15分とかでやめてたし。

 

具体的な勉強法

勉強法なんて銘打ってますが、やってることは大したことないです。ポイントは…

 

・英語の音声&英語字幕で見る

・発音を、字幕見ながらでいいので、ぶつぶつ真似してみる

 

これだけです!

肝心なのは発音を、字幕見ながらでいいので、ぶつぶつ真似してみること!

 

中高生の子たちに多いと思うのですが、学校で教科書を音読するときに、なんかカタカナ英語の発音で言わないと馬鹿にされそうな空気感ありません?あれはリスニングの勉強において最低最悪の風潮です。気持ちはわかります。私もそうでしたから。

けど、家でやる分には誰も聞いてないんで、へったくそでも、とにかく英語を話す人がするような発音を真似することが大切なんです。

なぜリスニングの勉強で発音を大切にしているかと言えば、「発声できない音は、聞こえないから」です。例えば水を表すwaterという語は、アメリカ圏では「ウァーラー」のように発音します。tの音が消えるんですね。waterの発音を「ウォーター」だけだと思っている人は、たとえ意味を知っていようと、「ウァーラー」と言われたらなんのことかわかるはずもありません。リスニングは「聴くこと」ばかりに意識が向きがちですが、「話すこと」と密につながっているのです。

 

とにかく毎日続けることが大事

このやり方に限った話ではありませんが、リスニングは継続が何よりも大切です。普通のリスニング勉強法が合わなかった人は、まずはリスニングの勉強のハードルを徹底的に避けましょう。もちろん聞いてるだけで上達はしませんから、発音を徹底的にまねして、さらに毎日続けて音声に慣れることが大切です。ただ、他の勉強法に比べて、ここで紹介した方法は圧倒的に取り組みやすいでしょう。

 

おすすめの動画やチャンネル

TED

言わずと知れた、超優秀な英語学習教材です。リアルな英語でのプレゼンを聞くことで、かなりの高地トレーニングになるでしょう。

 

おすすめの動画は…

www.youtube.com

Speak English With Tiffani

英語学習者向けに、外国人女性の方が動画を投稿しているチャンネルです。他と比べてゆっくり目に発音してくれるだけでなく、とても聞き取りやすい、はっきりとしたしゃべり方なので、個人的に結構好きです。

 

おすすめの動画は…

www.youtube.com

Atsueigo

Atsuさんという日本人の方が運営しているチャンネルです。日本語のものもありますが、オールイングリッシュな動画もおおく、日本人が疑問に思う英文法についてネイティブと議論するような内容も多いので、受験生としても、第二言語学習者としても十分に楽しめるかと思います。私は受験期はAtsueigoばっかり見てました。おすすめです。外国圏のハードルが高いと思う方は、まずはここから見始めてみると良いでしょう。

 

おすすめの動画は…

www.youtube.com

生徒たちへ

あるとき親から聞いたのだが、私は中学生の時に将来何になりたいかと聞かれて、「塾の先生」と答えていたらしい。

 

大学に入ったら、塾か家庭教師のバイトをすると心に決めていた。それこそ中学から、学校や塾の先生という職業に興味津々だったし、友達に聞かれて勉強を教えるのも好きだったので、その延長にあるような仕事に魅力を感じたのだと思う。

 

最初に入った個別指導塾は規模の小さなところで、生徒数も講師の数も、あまり多いわけではなかった。人と話すことは割と得意な方だった私は、コミュニケーション能力が高いと思われたようで、塾長がえらく私を気に入って、バイトしはじめてすぐに、たくさんの授業をさせてもらった。まあ講師がすくないので、授業に多く入れるのは、今考えれば当たり前のことだが。

授業を実際にやってみると案外難しくて、生徒がどこがわからなくて、何を教えて欲しいのか、それを把握するのに最初は苦労したものだ。まあそれも1・2ヶ月くらい経つと適応してきて、自分の中で「今の説明わかりやすかったかも。違う生徒にもしてみよう」みたいな瞬間が増えていく。ちらほら生徒が「わかりやすい」とか「授業面白い」とか言ってくれるようになって、行けば行くほどバイトが楽しくなった。そういう、先生である自分に対する、小さな評価言のようなものから、だんだんその塾・教室という空間の中で、自分の存在意義が見出せるようになった。「自分の授業を必要とする人がいる」というと傲慢にも聞こえるだろうが、そんな気がしなくもなくて、授業が好きになっていった。

 

最初の塾は1年半ほど勤めたのだが、一年目に担当した中3たちが卒業した後は生徒が少なくなってしまって、授業自体もその分減ったので、次の塾へ移った。ほどなくして、最初に勤めていたあの教室は、閉校してしまった。

 

2つ目の塾は前とは違って、1対1で授業をする塾だった。脳のリソースをすべて一人の生徒に避けるので、授業が大好きな私にはもってこいの環境だった。その塾に入ってから、成果が割と評価されるようになって、任される生徒がどんどん増えていった。まあ一応、塾講師経験者だったので、塾長としても使い勝手の良い人材だったのだろう。指導をし始めてほどなくして、だんだんと、「先生のおかげで成績が上がった」と、生徒からも保護者の方からも、塾長からも言ってもらえるようになり、自分はもしかしたら教えることが向いているのかもしれないとここでようやく思い始めた。「好きなこと」が「得意なこと」に変わった瞬間だった。

思えばこういう経験は自分にはなくて、別に英語は好きだけど特別特異なわけでもないし、中高でやっていたバスケットボールも、人並み程度の実力だ。「好き」であっても、それが「得意」になる経験は、少なくともすぐには思い出せないし、おそらく無い。

 

話を戻して、気づけば受験生ばかりを任されるようになった。前の塾でも感じていたのだが、受験生の指導は非常に楽しい。特に高3ともなると、こちらも持ちうる知識を全くセーブしなくて済むし、何より、教えること(教えたいこと)がたくさんあって、彼らはそれを必死になって、能動的に吸収しようとしてくれる。教えがいがあるとは、こういうことなのだろうか。

 

2つ目の塾に来て半年、年度がかわって私が大学3年生になった年から、生徒が指名をくれることが増えた。いうまでもなく、そんなホストクラブみたいなシステムは存在しないのだが、どうやら生徒の間で私の授業の口コミがやや広がっていたようで、塾長に「○○先生にしてください」と講習やレギュラーのコマを買ったり、なんなら親にも直談判する子までいた。この辺でなんとなく、「必要とされている」ような感覚を抱いた。自分を必要とする人間がいることを、ここで初めて実感した。私は多分、塾講師という職業に、少しくらいは向いているのだと思う。

 

授業受けてくれた私の生徒諸君。君たちには、本当に感謝している。いつも受験が終わると生徒やその保護者から「ありがとうございました」と言われるが、本当に感謝の言葉を述べるべきは私である。私が教えたことを忠実に守って、必死に勉強して、成績を上げて、夢をかなえて、その喜びを私と分かち合ってくれる君たちから、私はいつも幸せを享受している。

君たちに教えていた時間は、私にとってかけがえのないものだった。教えている時間だけは、嫌なことや思い出したくないことを全く考えずに済んだ。自分も誰かにとっては、少しくらいは役に立つ人間なんだと、そんなことを思えるようになった。今となっては、いったい何人に教えたのかもわからないが、たくさんの生徒に支えられて、今の自分がいることは間違いない。素敵な時間をくれてありがとう。君たちに教えられた時間が、何よりも幸せでした。

 

君たちもどうか、幸せでいて下さい。

【英語長文】aとtheの本質を理解すると、長文読解がめっちゃ楽になる話。

 

冠詞(a,the)とはなにか

英語における「冠詞」とは、名詞の前につくa. antheのことを指しています。文法書を開くと、よくa(an)には不定冠詞、theには定冠詞という名前が付けられていますね。小難しい文法用語を暗記する前に、まずはそれらの冠詞について、本質的な部分から理解していきましょう。

 

aとtheはどう違うのか

さて、まずはa(an)とtheにはどのような違いがあるかについて理解していきましょう。感覚でいいので、以下の問題を解いてみてください。

 

あなたは、学校の生徒です。窓際の席に座るあなたは、英語の授業中にALTの先生から、暑いから教室の窓を開けてほしいという内容を、英語で伝えられました。その時にALTの先生が話す英語として、適切なのはどちらでしょうか。

A:Open a window. B:Open the window.

 

正解はBです!なんとなくBだと思った人が多数派なのではないでしょうか。私が生徒に冠詞を教えるときによく出す問題なのですが、9割くらいの子たちがBを選んでくれます。なんとなくそっちの方が自然な感じがするそうです。

 

さて、ではなぜBが正解なのでしょうか。先にa(an)とtheについて理解しましょう。ズバリこれら2つのポイントはこれです!

 

 

a(an)は、「1つ」という条件ならなんでもOKの時に使います。例えば、筆箱を忘れて、何でもいいからボールペンを貸してほしいときには、ペン一本もらえれば、種類などはなんでもいいので、I need a bollpoint pen.のように表現します。

 

一方でtheは、「話し手と聞き手の共通認」がある場合に使います。つまりは、話している人と聞いている人が、同じものものを認識できるときです。例えば、放課後に友達と学校の図書館で勉強したいと思って、「図書館で勉強しよう」と誘う場合には、おそらく友達も、そしていうまでもなく自分も、日本全国の図書館の中から自分たちが通う学校の図書館を思い浮かべるはずです。いきなり沖縄の図書館に行くことになんてなりませんからね。そのため同じ図書館を思い浮かべているはずなので、Do you want to go to the library?のように表現できるわけです。

 

冒頭で、文法書では、a(an)には不定冠詞、theには定冠詞という名前が付けられていると言いましたね。不定冠詞という名前は、「1つ」なら何でもOKという性質は、言い換えればどれかは特定できないということであるため、そこに由来しています。一方で、定冠詞は、すでに話し手と聞き手で思い浮かべるものが決まっている(定まっている)ときに使うので、こうした名前がついているのです。

 

それでは先ほどの問題に戻ってみましょう。状況としては、窓際の席に座っていて、窓を開けてと言われています。このとき、開ける窓は、ALTの先生も、そしてあなたも、あなたが座っている横にある窓だと考えるのが自然です。まさかいきなり家に帰って、自分の家の窓を開けて、「はい窓をあけました」なんてことには絶対になりません。よって、話し手(ALT)と聞き手(あなた)が同じ窓を思い浮かべたので、正解はthe windowと表現したBになるのです。

 

長文読解でどう生かせるのか

では、冠詞がわかるとどうして長文が読みやすくなるのかを学んでいきましょう。

a(an)が役立つ場合

まずはa(an)についてです。以下の英文を読んで、問題に答えてみてください。今回は冠詞についての内容なので、わからない単語などは調べてOKです。

 

北海道教育大(2021) 大問2より一部抜粋

さて、下線部にはA skillhul early-years practitinoerとありますね。問題文から、おそらくpractitinoerは教師のことなのでしょう。冠詞のaが使われているので、もう一度思い出しましょう。

 

a(an)➡「1つ」ならなんでもOK

 

でしたね。「1つ」なら何でもOKという性質は、言い換えればどれかは特定できないということであるので、不定冠詞という名前がついているのでした。特定できないということについて、もう少し考えてみましょう。

特定できないということはつまり、話し手と聞き手と間には共通認識がないことになります。話している人はもうその名詞について当然知っているでしょうが、聞き手である私たちはそれを知らない、そんな状況でa(an)が使われているのです。ということは、まだ聞いている(読んでいる)人が知らなそうな名詞に、不定冠詞a(an)が使われるということです。ここまでで、a(an)は「未知を示す冠詞」と言い換えてもいいでしょう。

 

それでは問題の解説に移ります。問題文には、「下線部はどのような教師のことを指しているか」です。よって、A skillhul early-years practitinoerの情報が今必要になります。では、その情報はどこに書いていると思いますか?未知を示す冠詞aが使われたということは、A skillhul early-years practitinoerまで文を読み進めても、読み手である我々はそれが何かがわからないということです。よって、この後にその情報がくると、ここで確定しています。

 

ということは、文章を読む前に問題文を読んで、冠詞aが見えていれば、根拠は下線部より後ろの文にあることが確定するということです。ただでさえ時間がない長文読解では、こうした観点があるとかなりの時間の節約になります。

 

それでは、下線部より後ろの英文に注目しながら一文を読んでみましょう。

A skillful early-years practitioner will know when to intervene to guide and extend the opportunity to learn, but also when to step back and let it unfolded naturally.

熟練した幼児教育実践者は、子供の学びの機会に対していつ介入し、広げるべきかだけではなく、いつ一歩引いて、自然に展開させるべきかも知っている。

 

こんなふうに書いてありました。未知の冠詞であるaの性質から、A skillful early-years practitionerの後ろの内容が、今回の答えでしょう。よって、when~naturallyの部分を根拠として、模範解答は以下のようになります。

 

解答:子供の学びの機会に対していつ介入し、広げるべきかだけではなく、いつ一歩引いて、自然に展開させるべきかも知っている教師

 

繰り返しますが、冠詞のa(an)が使われたということは、読んでいてもまだその情報が出てきていないということです。こうした未知を示すような性質を知っていれば、長文読解がとても楽になります。

theが役立つ場合

茨城大(2019) 大問1より一部抜粋

次は茨城大からの出題です。今回は下線部にtheが使われていますね。theの性質は…

 

話し手と聞き手(書き手と読み手)の共通認識

 

でした。これも少し違った覚悟で見直してみましょう。

話し手と聞き手が、同じものを共通認識できる状況とはどういう状況でしょうか。それは、もうすでに、それについての情報が出ているということです。下線部にはthe applicationsとありますが、theが付いたということは、書いている人も、そして読んでいる我々も、applicationsが何かを知っているはずなんです。共通認識ですからね。つまりtheは「既知を示す冠詞」と言い換えることができます。

こうなるとあとは簡単で、the applicationsって何だろうと思ったなら、その前に書いてある文を見ればいいのです。だって、前の文に説明がないなら、っている状態にはなりませんからね。というわけで、前の文を見てみましょう。

 

In another part of the plant, where LP’s song “Lost on You” hums across the floor, a different lightweight robot arm evenly applies a thick black glue to the edge of small car windows.

別の工場、LPの「Lost on You」という曲がフロア中に流れていて、別の軽量ロボットアームが黒い厚い接着剤を小さな車の窓の縁に均等に塗っている。

 

と書いていますね。theが「既知を示す」という性質から、これがapplicationsについての情報なのでしょう。よって模範解答は…

 

解答:軽量ロボットアームが黒い厚い接着剤を小さな車の窓の縁に均等に塗ること。

 

となります。

 

もう一度それぞれの冠詞の性質を整理しよう。

これまでの内容を総合して、冠詞は以下のように理解できます。

 

 

冠詞については、ここでそのすべてを語り切れるものではありません。冠詞だけを扱った書籍がいくつも出るほどに、これは奥が深いものなんです。ただ、先にこうした理解を持っておくと、今後長文読解をするときにも役立つし、新たに冠詞について理解するときにも大いに役立つでしょう。

 

最後に、冠詞についてもっと知りたい人におすすめの書籍を以下に掲載します。ここまでお疲れ様でした!

日本人の英語 (岩波新書 新赤版18 新赤版 18) [ ピーターセン,M.(マーク) ]

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【助動詞】イメージと役割を理解して、暗記を楽にする助動詞の学び方。

 

そもそもなんのために助動詞を使うのか

まず、助動詞の役割について考えてみましょう。以下の例⽂を⾒てください。 


He is a soccer player. 彼はサッカー選⼿です。 


この例⽂は、「彼はサッカー選⼿」であるという客観的な事実を表しています。「彼」のことを誰がどう思うかに関わらず、「彼はサッカー選⼿」なのです。ただ、これでは、話している⼈の「思考」や「判断」が表現できません。「彼はサッカー選⼿かもしれないな」「彼はサッカー選⼿にちがいないな」と、いろいろな考え⽅があっていいはずです。こうした、 話し⼿の「思考」や「判断」を⽰すことが、助動詞の役割なのです。

 

助動詞を使うときのルール

まずは、助動詞を使うときのルールの確認です。中2で習う内容なので知っている人がほとんどだと思いますが、念のため、確認しておきましょう。

 

ルール①:助動詞の後ろは動詞の原形

〇He can run fast.

✕He can runs fast. 

 

ルール②:三単現のSルールが適応されない

〇He can run fast.

✕He cans run fast.

 

ルール③:否定するときは、notは助動詞の後ろに

He can't run fast.

 

ルール④:疑問文にするときは、助動詞を前に

Can he run fast?

 

ルール⑤:助動詞を2つ連続で並べることはできない

〇He will be able to run fast.

✕He will can run fast.

 

助動詞の意味

助動詞にはそれぞれ核となる意味があり、そこから中学⽣の頃に習う「基本の意味」と、 「予想の意味」が出てきます。参考程度に、⼤まかな意味の分類を以下に⽰しますが、あまり表で覚えようとせずに、助動詞ってこんな感じの意味があるんだなあ、と⼤雑把に確認してください。各助動詞についての詳しい説明は、3-1.以降でします。

 

will

willは「絶対にやってやる!」というような、強い意志を感じる助動詞です。文法書によってはwillの説明に意志未来という言葉を使うのですが、それはこうしたイメージに由来しています。

willの強い意志が現れる一例をあげると、皆さんワンピースという漫画をご存知でしょうか。その主人公であるルフィの有名なセリフとして、「海賊王に俺はなる!」というものがあるのですが、これ英語版だと「I'll become the king of the pirates!!!!」になってるんですよ。ルフィの「絶対に海賊王になってやるぞ」という強い意志が、willによって、表現されているわけです。

 

willの説明には未来という言葉が使われがちですが、そこにはとらわれず、イメージを大切に訳や意味を派生させていきましょう。

 

基本の意味➡意志「(必ず・絶対)〜するつもりだ」

 

 ※3つ⽬の例⽂は、ドアが主語になっていることから、「ドアが強い意志をもって開こうとしなかった」という意味です。いかにも英語的な思考ですね。

 

予想の意味➡「(必ず・絶対)〜だろう」 

 

発展内容➡習慣・習性「(よく)~する」「~するものだ」

なにかの習慣や習性を表すのにもwillが使えます。別に訳を覚えなくても、「絶対~する」という意味さえ覚えておけば、結構すぐに理解できるはずです。

 

 

 ここでもwillの「必ず・絶対〜する」という意味は変わりません。例えば1つ⽬の⽂では、 「⾚ちゃんは必ず・絶対泣く」という直訳が、「⾚ちゃんは泣くものだ。」という訳に⾏きついているのです。

 

can

canは、日本語でいうところの「」の意味を核に持っていて、ここから以下のような意味に派生します。意味を思い出せなくなったら、まず頭の中で、「可」を使った熟語を連想してみましょう。

 

 基本の意味➡可能「〜することができる」(=be able to do)

 

予想の意味➡可能性「〜する(〜である)可能性がある」「〜はあり得る」 

 ※「可能性」の意味でcanの代わりにcouldを⽤いると、その可能性がちょっと低めだと思っていることを表現できます。 

 

 発展内容➡許可「〜してもいい」

 

may

mayは、自分の考えや予測が、50パーセントくらい(半々くらい)であるときに使われます。意味は大きく二種類です。正直ここは丸暗記のほうが早いです。

 

基本の意味➡許可「~してもいい」

 

予想の意味➡「~かもしれない」

 

must

mustは、もうこれ以上他には考えられない、というような状況で使い、「それしかない!」「そうするしかない!」という感じの意味を持っています。

 

基本の意味➡義務「〜しなければならない」  (「そうするしかない︕」くらいの勢いで) 

 

予想の意味➡「~にちがいない」  (「それしかない︕そうとしか思えない︕」くらいの勢いで)

 

 「1.助動詞の役割について」で説明したように、助動詞というのは話し⼿の「思考」や「判断」を表現するために使う⽂法です。mustを使う場合は、⾃分の考えに絶対的な⾃信がある時です。だから、「しなければならない」とか「ちがいない」という訳に⾏きつくのです。

 

should

shouldは自分の「思考」「判断」に、70%くらいの自信があるときに使います。「ちょっと自信はないけど、まあたぶんこうだろうな」といった程度です。このイメージから、以下のように意味が派生します。

 

基本の意味➡義務・アドバイス「~するべきだ」

 

予想の意味➡「~するはずだ」(70%くらいの確信をもって)

 

言い換え表現のニュアンスの違い

助動詞にはそれぞれ以下のような⾔い換え表現が存在します。

 
will=be going to 
can= be able to 
must=have to 
should=ought to 


さて、上述した内容では、助動詞とその⾔い換え表現がイコール(=)でつながっていますが、 これら2つの組み合わせは、完全に意味が⼀致するわけではありません 。そのため、それぞれの助動詞と⾔い換え表現が、どのように意味やニュアンスの違いを持つのか、以下で説明します。 


「will」VS「be going to」 

will は 「そ の 場 で 決 め た こ と」、 be going to は 「前 か ら 計 画 し て い た こ と、すでに予定として決まっていること」 を指します。以下の例⽂で確認しましょう。 

①の⽂では、Aの「たまごがない」という報告を受け、Bは「あ、じゃあ買いにいかな 
きゃ」と、その場で思いついて、  これから買いに⾏くことを相⼿に表現したので、willを使います。⼀⽅で、②の⽂では、「たまごがない」ことには前から気づいていて、買いに⾏く予定をすでに⽴ててあるようです。前からたまごを買う予定を⽴てていたので、be going toを使うわけですね。また、be going toはwillに⽐べて客観的なことを表す場合に使うことが多いです。例えば、以下のような⽂で使います。 

 

 

まず彼⼥が出産するということは、その場で決まるのではなくて、前々から決まっているはずですね。よってbe going to を使ったわけです。さらに、妊娠しているということはお腹が⼤きくなっているはずですね。誰がどう⾒たって「お腹が⼤きい」という、客観的な事実 があるはずです。こうしたことからも、この⽂ではbe going toが使われています。

「can」VS「be able to」 

諸説ありますが、現在時制で⽤いる分には、意味に⼤差はないので同じものと考えてかまいませんが、⼀応、be able to は本来は 「⼀時的な能⼒」を表すもので、 それが過去形の時にはcouldの違いとなって現れます。 
まず、「できた」と⾔いたい時、ついつい「can(できる)」の過去形としてcouldを使い たくなりますが、  couldは「(当時は)やろうと思えばできた」  という意味でしか使えません。

 

 

上の例⽂は、「速く泳ごうと思ったらあの時は泳げたんだよ。今は年取っちゃってそんなことできないけど」という意味で述べられた⽂です。よってcouldを使⽤しているわけですね。 
では、「(ある場面で一度だけ)できた」というときは、couldは使えませんから、be able to を使います。例えば、「そのチケットをゲットできたんだ!」と言いたいのなら、I could get the ticket!とは言いません。これでは、「手に入れようと思えばいつでもチケットを手に入れられる状況」だったことになってしまいます。しかし想像してみてください。例えば、⾃分の好きなアイドルやバンドのライブチケットを⼊⼿するときには、数倍から数⼗倍にも及ぶ倍率を勝ち抜いてチケットを⼿に⼊れる必要があります。そんな状況が、「まあ⼿に⼊れようと思えばいつでも⼿に⼊れられたけどね」に当てはまる訳がありません。よって、こうした表現ではcouldではなくbe able to を使うのです。 
まとめると、couldは「やろうと思えばできた」つまりある⼀定期間持っていた能⼒について、be able toは⼀時的に持っていた能⼒について述べるときに使います。

 

「must」VS「have to 」

まず、mustは主観的な義務、つまり「(⾃分が)〜しないといけない(と思う)」ことを表現するときに使います。一方でhave to は客観的な義務、つまり「(だれがどう見たって)〜しないといけない」ことを表現するときに使います。以下の例⽂で確認しましょう。

 

①I must study hard.  
②I have to study hard. 

 

①では、例えば「将来は東⼤に⾏きたいから、今のうちから必死に勉強するんだ︕」というニュアンスが感じられます。必ずしもmustがポジティブな意味で使われるという事ではありませんが、⾃分の中から湧き上がる義務感や、決意が表現できるのがmustです。⼀⽅で、②の⽂には、「成績が悪くてこのままだと卒業できない...。必死に勉強しなくちゃ...。」という意味合いがあります。これは、話している本⼈は勉強なんてしたくはないけれど、「(誰がどう⾒たって)成績が悪い」という客観的な理由から、「勉強しなければならない」状況になっています。よってhave toを使ったわけですね。

 

また、must とhave to の否定表現は以下のように違いがあるので、覚えておきましょう。 

 

 

「should」VS「ought to」 

これら2つにほとんど意味の違いはありませんが、ought to はやや硬い表現で、shouldのほうが使われる頻度が圧倒的に多いです。また、ought to を使って否定文を作る場合は、to の前にnotをつけ、ought not toと表記します。

 

 

助動詞は本質的な部分から理解して暗記を楽にしよう!

助動詞は覚えることが多くて大変に見えますが、本質的なイメージを理解すれば、そこから派生させて意味を楽に覚えられます。もちろん暗記という過程は排除できませんが、その手助けにはなってくれるでしょう。

【現在完了】現在完了はまず感覚を理解しろ!

 

本質的な部分から理解しよう。

現在完了とは

 英語の時制には現在と過去がありますが、現在形を使った文、過去形を使った文というのは、すごくピンポイントな話をしていて、一瞬の出来事しか表現できません。例えば、I played baseball yesterday.という文があったとして、「野球をした」という事実は、英語という言語の中で考えられている時間の軸の中では、「yesterday」つまり昨日だけという一瞬の中で、野球をしたという意味なのです。

 

 

ところが、「過去のあの時から今まで」を表現したい場合があります。例えば「小学生の頃からずっと野球を続けているんだ」というようなことです。ただ、過去形だけ、もしくは現在形だけ使っても、「過去のあの時から今まで」という時間に幅があるような表現はできません。過去形や現在形は一瞬の出来事だからです。そこで登場するのが「現在形完了形」である「have + 過去分詞形」です。

現在完了は、「過去のあの時から今まで」という、通常の英語(過去形や現在形)では表現できないほどの「時間の幅」を表現するべく、過去形と現在形をまたぐように、現在形であるhaveと、動詞の過去分詞形を両方使います。過去分詞形という名前が付くくらいですから、文の中に置かれることで、「過去」のイメージを追加できるのです。現在形(have)と「過去」のイメージをもった過去分詞形を同時に書くことで、「過去のあの時から今まで」という時間の幅を表現しているということです。

 

 

訳を暗記する前に

現在完了はよく、以下の3つの訳があると習うかと思います。もちろん覚えなければいけないので、暗記は避けられませんが、少し楽に覚えられる方法があるので説明します。いったん訳を見てみましょう。「○○用法」という言葉が苦手な人は、その用語は別に覚えず無視してOKです。

 

継続用法:「ずっと~している」

完了用法・結果用法:「(ちょうど)~したところだ」「(すでに)~してしまった」

経験用法:「~したことがある」

 

さて、ここからが少し重要です。

まず、現在完了は「過去から今まで」が根本的なイメージです。このことから、現在完了は以下の2つの性質を持つことになります。

 

①時間に幅があること

②「今(現在)」に対して、何かしらの影響があること

 

①については大丈夫でしょう。「過去から今まで」を表すのですから、時間に幅があるのは当然です。②が難しいですね。とりあえず現在完了をつかった例文を見ながら、考えていきましょう。

 

継続用法「(ずっと)~している」

継続用法とは、過去から始まって、今もやっている状態です。

 

例)

1.私は子供の時から英語を勉強している。 I have studied English since I was a child.  
2.私は5年間英語を勉強している。 I have studied English for five years.  

 

1.の例文から考えてみましょう。「私は子供の時から英語を勉強している」を表現したいとき、なぜ現在完了を使わなければいけなかったのかを、さきほど紹介した現在完了の2つの性質に基づいて検証してみましょう。 


①時間に幅があること 
⇒(何歳からかはわからないけど)子供の時から英語の勉強を始めて今に至るわけですから、過去から今までの「時間の幅」があります。 


②「今(現在)」に対してなにかしらの影響があること 
⇒この文の意図としては、子供のころに初めて、「今も続けているんですよ」ということを伝えようとしています。よって、過去に始まった英語の勉強が、今も続いている(=今に影響がある)ので、②の性質も当てはまっています。 
 
よって、「私は子供の時から英語を勉強している」は、現在完了を使って、 I have studied English since I was a child.と表すわけです。

 

 

2.の例文も、同じように考えてみましょう。

①時間に幅があること 
⇒5年間も英語の勉強を続けているのですから、いうまでもなく「時間の幅」があります。 
 
②「今(現在)」に対してなにかしらの影響があること 
⇒1.の例文と同じで、「5年間続けているよ」という時には、おそらく今もそしてこれからも続けていくという意図があるはずです。よって、過去に開始して、5年続いた英語の勉強は、もちろん今も続けている(=今に影響がある)ので、②の性質も当てはまります。 
 
以上の理由から、「私は5年間英語を勉強している」を「I have studied English for five years. 」と、現在完了を使って表現したわけです。

 

 

完了用法・結果用法「(ちょうど)~したところだ」「(すでに)~してしまった」

これらの用法は、「過去から始まって、今終わった」ととらえると良いでしょう。 

例)

1.私はちょうど宿題を終えたところだ。 I have just finished my homework. 
2.彼はすでに宿題を終えてしまった。 He has already finished his homework. 


文法の解説とはあまり関係ありませんが、状況としては、1.は「放課後に宿題を一緒に教室に残ってやらないか、と友達に言われてあなたが言うセリフ」2.は「放課後に、友達の彼に、一緒に教室に残って宿題をしようと誘ったら、もう彼は宿題が終わっていた」という感じです。さて、これらの文が、現在完了の性質にどのように当てはまるのかを考えてみましょう。まずは 1.の例文からです。

 
①時間に幅があること 
⇒宿題を終えたということは、過去のどこかのタイミングで宿題を始めたということです。そして今現在は終わっているわけですから、過去から今までの「時間の幅」がありそうです。

 
②「今(現在)」に対してなにかしらの影響があること 
⇒今への影響がありまくりです。あなたは友達に「一緒に宿題をしよう」と誘われ、「今」ちょうど終わったと断られたのです。いうまでもなく「今」に影響があることがわかります。 

 

 

2.の例文についても見てみましょう。 


①時間に幅があること 
⇒1.の例文と同じ理由です。「宿題を終えた」=「過去のどこかのタイミングで宿題を始めて今はもう終わっている」ことを表現したいため、「時間の幅」を考えて現在完了が使われます。 


②「今(現在)」に対してなにかしらの影響があること 
⇒「すでに終えてしまった」ということからわかるように、この発言をする人は、宿題なら「今」もう終わっているという意図を持っています。よって、今に対する影響があるので、この性質も持ち合わせていると考えていいでしょう。

 

 

経験用法「~したことがある」

経験用法は「過去から今までの思い出をさかのぼる」用法です。

 

例)私は京都に2回行ったことがある。I have been to Kyoto twice. 


経験の用法は、「過去」から「今」までを思い返して、「あーそういえばこんなことあったな」と自分の思い出や経験を振り返るようなものです。さて、①・②の性質を検証してみましょう。 


①時間に幅があること

⇒先に述べた通り、経験の用法は、「過去から今まで」の振り返りです。当然過去と今をつなぐほどの「時間の幅」があるはずです。


②「今(現在)」に対してなにかしらの影響があること

⇒過去の思い出を語ることができるのは、その思い出が「今も残っているから」です。よって、今に対する影響もあると考え、現在完了が使用できます。

 

 

本質から理解した方が楽

私は、暗記を排除する考え方には、全くもって反対です。言語なんてのは結局行きつく先は暗記です。ただ、暗記をある程度楽にすることはできます。例えば現在完了なら、その文法がやろうとすることは何か、そういう根本的な部分をつかんでから暗記をすると、理解が圧倒的に楽になります。ここでは、「時間の幅」「今への影響」の2つを抑えて、ゆっくりと訳を覚えていきましょう。